アルバイトやパートにも、源泉徴収票は必ず交付されます。年収が少なく所得税がかからない人でも、会社には交付する義務があります。また、2026年分の所得税は、基礎控除104万円と給与所得控除74万円により、給与収入178万円までかからない仕組みになりました。「103万円以下なら年末調整は不要」というのは誤りで、年末調整の対象かどうかは収入額ではなく、扶養控除等申告書を出しているかで決まります。この記事では、アルバイトの源泉徴収票と年末調整の基本を、国税庁の資料をもとに、働く人と労務担当者の両方の目線で解説します。
源泉徴収票は、1年間に支払った給与の額と、源泉徴収した所得税の額を記載した書類です。会社(給与の支払者)は、その年に給与を支払ったすべての人に交付する義務があります(所得税法第226条)。アルバイト・パート・短期の勤務でも同じで、年収の多さや所得税がかかったかどうかは関係ありません。
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 交付する相手 | その年に給与を支払ったすべての人(アルバイト・パート・短期を含む) |
| 交付の期限 | 年末に在籍している人は翌年1月31日まで。退職した人は退職日以後1か月以内 |
| 交付の方法 | 書面のほか、本人の承諾があれば電子交付も可能 |
| 交付しなかった場合 | 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(所得税法第242条) |
出典:国税庁 No.7411 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出
103万円は、2024年分まで所得税がかかり始める年収の目安だった金額です。源泉徴収票を交付するかどうかや、年末調整の対象になるかどうかとは関係ありません。年収103万円以下のアルバイト・パートでも、会社は源泉徴収票を交付し、扶養控除等申告書を出している人は年末調整の対象になります。
また、年収が103万円以下でも、月によっては給与から所得税が源泉徴収されていることがあります。その場合は、年末調整(または確定申告)で払いすぎた所得税が戻ります。源泉徴収票の「源泉徴収税額」欄で、最終的に納めた税額を確認できます。
給与だけの人の所得税は、給与収入から給与所得控除を引き、さらに基礎控除などを引いた残りにかかります。2026年分・2027年分は、基礎控除が104万円(合計所得金額489万円以下の場合)、給与所得控除の最低額が74万円になり、給与収入178万円までは所得税がかからない計算です(国税庁 No.1199 基礎控除)。
| 年分 | 所得税がかからない給与収入の目安 | 内訳(給与所得控除+基礎控除) |
|---|---|---|
| 2019年分まで | 103万円 | 65万円+38万円 |
| 2020〜2024年分 | 103万円 | 55万円+48万円 |
| 2025年分 | 160万円 | 65万円+95万円 |
| 2026年分・2027年分 | 178万円 | 74万円+104万円 |
※ほかの所得控除(社会保険料控除など)がある場合は、さらに多い年収まで所得税はかかりません。
2026年分の改正は2026年12月1日に施行されるため、1月から11月までの毎月の給与からは従来どおり源泉徴収され、12月の年末調整で改正後の控除額を使って精算します。改正を反映した新しい税額表は、2027年1月以後に支払う給与から使われます(国税庁 令和8年度税制改正に関するQ&A)。
2026年の途中で退職し、年末調整を受けていない人が改正後の控除を受けるには、確定申告が必要です。ただし、源泉徴収税額が0円なら還付される税金はありません。
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年末調整の対象は、勤務先に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人です(給与が2,000万円を超える人などを除く)。年収が少ないかどうかでは決まりません。申告書を提出している人は、毎月の給与から税額表の「甲欄」で源泉徴収されます(国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人)。
| 区分 | 源泉徴収の欄 | 年末調整 | 主なケース |
|---|---|---|---|
| 扶養控除等申告書を提出 | 甲欄 | 対象 | メインのアルバイト先・パート先 |
| 申告書を提出していない | 乙欄(給与の3.063%以上) | 対象外(確定申告で精算) | 掛け持ちの2か所目以降 |
| 日雇い・短期 | 丙欄 | 対象外 | 日々雇い入れられる人 |
申告書を提出していない人の源泉徴収は乙欄で行われ、税額が高めになります(国税庁 No.2511)。
扶養控除等申告書は、主たる勤務先1か所にしか提出できません。年末調整を受けるのはその1か所だけで、もう一方の給与は乙欄で源泉徴収されたまま年末調整されません。両方の源泉徴収票を使って確定申告をすると、払いすぎた税金が戻る場合があります。
年の途中で退職した人は、原則として退職した会社では年末調整されません。例外として、次のような場合は退職時に年末調整が行われます。
同じ年に別の会社へ就職した場合は、前の勤務先の源泉徴収票を新しい勤務先に提出すると、合算して年末調整してもらえます。
源泉徴収票は本人に交付するだけでなく、一定の範囲の人の分は税務署にも提出します。また、市区町村には「給与支払報告書」を提出します。
| 区分 | 2026年分まで | 2027年1月1日以後 |
|---|---|---|
| 税務署への源泉徴収票の提出 | 年末調整した人は給与500万円超、退職者で申告書を出していた人は250万円超、乙欄・丙欄の人は50万円超など | 年の途中で退職した給与30万円以下の人を除き、原則として全員分が対象 |
| 市区町村への給与支払報告書 | 翌年1月1日に在籍する全員分を、住所地の市区町村へ1月31日までに提出 | 給与支払報告書を提出すれば、税務署に源泉徴収票を提出したものとみなされる |
出典:国税庁 No.7411
| 欄 | 書かれていること |
|---|---|
| 支払金額 | 1年間に受け取った給与の総額(税金や社会保険料を引く前、通勤手当の非課税分は含まない) |
| 給与所得控除後の金額 | 支払金額から給与所得控除を引いた金額(給与所得) |
| 所得控除の額の合計額 | 基礎控除・社会保険料控除・扶養控除などの合計 |
| 源泉徴収税額 | 1年間に納めた所得税の額(年末調整後の金額)。0円のこともある |
源泉徴収票は、確定申告、転職先での年末調整、住宅ローンや賃貸の審査、保育園の手続きなどで収入の証明として使います。再発行には時間がかかることもあるので、届いたら保管しておきましょう。
11月・12月は、年収の壁を気にして働く時間を調整するアルバイト・パートが増える時期です。税金の壁(所得税の178万円、配偶者控除・扶養控除の136万円など)を超えたかどうかは、源泉徴収票の「支払金額」と同じ考え方で計算します。
店舗や事業所の担当者は、11月に年末調整の書類を集めるときに、本人がどの壁を基準にしているかと、年内にあと何時間働けるかを一緒に確認しておくと、12月の繁忙期のシフト不足を防げます。
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アルバイトを雇う店舗や事業所の担当者は、次の点を確認しておきましょう。
源泉徴収票や年末調整の金額は、毎月の勤務時間と給与の記録がもとになります。シフトと実際の勤務時間を正しく管理しておくことが、給与計算のミスを防ぐ第一歩です。
扶養控除等申告書を提出していれば、年収が103万円以下でも年末調整の対象です。年末調整の対象かどうかは収入の額ではなく、申告書を提出しているかで決まります。毎月の給与から所得税が源泉徴収されていた場合は、年末調整で払いすぎた分が戻ります。なお、2026年分は給与収入178万円までは所得税がかからない計算です。
もらえます。会社は、その年に給与を支払ったすべての人に源泉徴収票を交付する義務があり、年収の多さや所得税がかかったかどうかは関係ありません。年末に在籍している人には翌年1月31日までに、退職した人には退職日以後1か月以内に交付されます。
発行されます。数日だけの勤務でも給与を受け取っていれば交付の対象です。日雇いの給与は丙欄で源泉徴収され、年末調整の対象にならないため、源泉徴収された税金がある場合は確定申告で精算します。
扶養控除等申告書を提出した1か所(主たる勤務先)だけで年末調整を受けます。申告書は2か所以上に出せません。もう一方の勤務先の給与は乙欄で源泉徴収され年末調整されないため、両方の源泉徴収票を使って確定申告で精算します。
原則として退職した会社では年末調整されません。ただし、パートやアルバイトが退職し、その年の給与総額が136万円以下で、その年中に他から給与を受ける見込みがない場合などは、退職時に年末調整が行われます。別の勤務先に就職した場合は、前の勤務先の源泉徴収票を新しい勤務先に提出すると、合算して年末調整してもらえます。
源泉徴収税額が0円なら、還付される税金はないため、所得税の確定申告をする必要がないケースがほとんどです。ただし、掛け持ちで年末調整されていない給与がある場合や、給与以外の所得がある場合は、確定申告が必要になることがあります。
同じ年の途中で転職し、新しい勤務先で年末調整を受ける場合は提出します。前の勤務先で扶養控除等申告書を出していた場合、その給与と源泉徴収税額を合算して年末調整するためです。
まず勤務先(退職した会社)に発行を依頼します。期限を過ぎても交付されない場合は、住所地の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出すると、税務署から会社へ交付するよう指導してもらえます。
あります。正当な理由なく期限までに源泉徴収票を交付しない場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります(所得税法第242条)。年収が少なく所得税がかからないアルバイトにも交付が必要です。
支払われた年の収入になります。給与の収入は、働いた月ではなく支給日で年を判定するため、12月分が翌年1月に支払われる場合は翌年の収入です。年収の壁を気にして年末の勤務を調整するときは、給与の締め日と支払日を確認しましょう。
年末調整や源泉徴収票の作成は給与計算システムで行いますが、その前提になるのは正確なシフトと勤務時間です。鉄道情報システム株式会社(JRシステム)が提供する「勤務シフト作成お助けマン」は、スタッフの希望や勤務ルールを設定してシフト表を自動作成できるクラウドサービスです。アルバイト・パートの多い職場には、時間を割り当てるシフト表を作成する「勤務シフト作成お助けマンTime」、早番・遅番などの記号で組む職場には「勤務シフト作成お助けマンDay」があります。本番利用時と同じ機能を2か月無料でお試しいただけます。
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