働き方改革関連法は多岐にわたりますが、今回はその中でもシフト管理者が特に把握すべきポイントを4点紹介します。一つひとつの概要や意義、罰則などを正しく理解してシフト管理業務に役立ててください。
日本の人口は2008年を境に減少。特に15歳以上65歳未満の生産年齢人口の低下は著しく、労働力不足が懸念されます。労働力不足を解消するためには「働き手の増加」、「出生率の上昇」、「労働生産性の向上」がポイントとなります。
働き方改革には3つの柱があります。
働き方改革の実現に向けて、関連法が順次施行されています。この動きは従業員を雇う企業にとって非常に重要です。法律で定められた規則に違反すれば、当然罰則を受けなくてはなりません。金銭だけでなく、社会的信頼やブランドの失墜にもつながります。
特に労働時間を管理するシフト担当者は、働き方改革に適した対策を施さなくてはなりません。政府が掲げる3つの柱のうち「長時間労働の是正」と「多様な働き方の実現」については、シフト管理を改善することで対応が可能となるでしょう。
36協定(サブロクキョウテイ)とは労働基準法第36条で定められた「時間外・休日労働に関する協定届け」です。法定労働時間である1日8時間、週40時間を超える勤務または休日出勤などを従業員に命じる場合、労働組合などと事業者の間で書面による協定を結び、労働基準監督署に届けることが義務付けられています。
36協定を締結すれば、法定労働時間を超える残業が可能となります。ただし、一般労働者の場合は1週間15時間まで、1ヶ月45時間まで、1年間360時間までと上限が設けられています。働き方改革関連法が改正される以前は、違反に対する処罰はありませんでした。しかし、新たな関連法施行後は法的強制力を持ち、違反した場合は罰則が適用されるようになりました。
36協定で定めた残業時間の上限は、“臨時的な特別の事情”がなければ超えることはできません。しかし、“臨時的な特別の事情”があって労使が合意した場合は、上限を超えて労働することが可能です(特別条項付き36協定)。業種や時期によっては、残業時間の上限を超えて労働しなければ対応できないものもあります。
多くの企業が特別条項付き36協定を締結していますが、働き方改革によって大きく変わっており注意が必要です。特別条項付き36協定を利用しても、残業時間の上限は1年間で休日出勤を除いた720時間まで。また、上限を拡大できるのは年6回までです。さらに、残業と休日労働の合計は1ヶ月100時間未満に、2ヶ月から6ヶ月間の月平均で80時間以内にする必要があります。これらに違反した場合は罰則が科せられるおそれがあります。
36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合、36協定・特別条項付き36協定で定めた時間を超えて時間外労働をさせた場合の罰則です。
36協定の違反は従業員が不信感を抱き、退職につながります。また、事実が広まれば企業の社会的信用も失うでしょう。
1.残業時間の上限をチェック
残業時間が上限内に収まっているかをしっかり確認しましょう。特別条項が適用されていない36協定の場合、残業時間は1週間15時間、1ヶ月45時間、1年間360時間までです。
2.上限延長の回数と延長時間をチェック
特別条項付き36協定は、上限延長の回数と延長時間に留意しましょう。残業時間を延長できるのは年6回までです。
3.特別条項の適用理由を明確にする
特別条項については理由付けが必要です。法改正後は理由を記載する書類を作成しなければなりません。「残業枠を多く確保しておきたい」などはNG。「決算期の対応」「大きなクレームや機械トラブルへの対応」など、特別かつ明確な理由が必要となります。
日本の労働環境の課題として挙げられるのが、有給休暇取得率の低さです。このため「有給休暇義務化」が施行されました。すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年
次有給休暇の日数のうち年5日は使用者が取得を促し、未取得者に対しては時季を指定して取得させることが必要になりました。
年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者が対象となります。年10日以上の年次有給休暇を付与する条件は、フルタイム労働者の場合「6ヶ月間継続して勤務している」、「全労働日の8割以上出勤している」の2点。勤続期間6ヶ月で10日、1年半で11日、2年半で12日の有給休暇を付与します。
派遣社員やパートタイマー、アルバイトも、条件を満たせば対象になります。年10日以上の年次有給休暇が付与される条件は、週4日勤務の場合「3年6カ月の継続勤務」「全労働日の8割以上の出勤」、週3日勤務の場合「5年6ヶ月の継続勤務」「全労働日の8割以上の出勤」となります。
有給休暇義務化は、対象となる労働者が初めて年次有給休暇を取得した日を基準日とし、その日から1年以内に5日間の有給休暇を取得させる制度。企業側が従業員に対し、取得を徹底させなければなりません。
働き方改革以前は、労働者が管理者(使用者)に有給取得を申し出ることが原則とされていましたが、有給休暇義務化によって使用者が労働者に対して有給休暇取得を促すことが必要となりました。
年次有給休暇を5日以上取得していない労働者に対し、使用者には「時季指定義務」があります。労働者に取得時季の意見をヒアリングし、その意見を尊重して取得時季を指定するようにしましょう。
※既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者 による時季指定をする必要はありません。
また、管理者は年次有給休暇取得時季や日数、基準日を明確にした「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保管することもルール化されています。
有給休暇義務化の違反は従業員ごとに成立します。つまり100人の対象従業員に対して有給を取得させなかった場合、3,000万円以下の罰金となる可能性があります。
1.個別指定方式の導入
有給休暇取得時季を本人の都合に任せる方式。年5日間の取得が難しそうな従業員に対しては、管理者が適宜指定します。
2.計画年休制度の導入
企業側が計画的に付与していく方式です。これまで有給休暇取得率が低かった企業に向いているでしょう。
業種や時期によっては繁忙期と閑散期があります。これらに応じて所定労働時間を振り分ける制度が「変形労働時間制」です。変形労働時間制を導入している期間であれば、企業は法定労働時間を超えて労働した従業員に対して残業代を支払う義務が発生しません。
企業は週、月、年単位で労働時間を定めることができます。人件費が削減され、効率良く労働力を得られる変形労働時間制ですが、「就業規則に変形労働時間制である旨を明記する」、「あらかじめ勤務シフトを確定し周知する」などの条件を満たす必要があります。特に変形労働時間制導入期間とそれ以外を合わせた労働時間が、法定労働時間を超えないように注意しなければなりません。
例えばホテル業は週末や連休が忙しくなります。クレジットカード会社のコールセンターであれば、利用者に明細が届いた直後に問い合わせが多くなるでしょう。変形労働時間制を正しく運用するためには自社に適した導入期間を把握する必要があります。
変形労働時間制は「1週間」、「1ヶ月間」、「1年間」の3つの導入期間から選択することができます。例えば「1週間」であれば週の中で繁閑の差が激しい業種。常時30人未満の飲食店や小売業、旅館、料理店などの事業所が利用可能です。「1ヶ月間」はコールセンター他、請求処理を対応する経理など、「1年間」は事前に生産計画を立てられる工場などで多く導入されています。
労基署に労使協定の届け出をしていない場合。また、週単位の変形労働時間制を採用し、前週末までに翌週の労働時間を通知しなかった場合も罰金の対象です。「変形労働時間制の導入条件を満たしていなかったが、導入したと思い込み残業代を支払わなかった」といったケースも見られます。
1.煩雑な管理作業の簡素化
変形労働時間制対象者とその労働時間の把握がポイント。シフト管理などを簡素化させて、把握しやすい環境を整えます。
2.チェック体制強化
就業規則、残業時間、法定労働時間などをチェックする体制を整備。複雑な制度なので、適法に導入する為には専門家に相談することも検討すべきでしょう。
「労働時間等設定改善法」が改正され、「勤務間インターバル制度」の導入が努力義務となっています。従業員の勤務終了後から翌日の始業までに一定時間以上の休息時間を設け、睡眠時間などを確保することを目的とした制度です。
勤務間インターバル制度がいち早く導入されたEU諸国では、前日の終業時間から翌日の始業時間まで11時間以上確保することを義務付けています。日本では努力義務となっているため休息時間の設定は事業者に委ねられますが、従業員の健康維持や精神的負担の軽減などの観点から、導入する企業が増えています。
勤務間インターバル制度を導入することで多くのメリットが生まれます。例えば始業9時の企業が、EU諸国と同じ11時間のインターバルを採用したとします。23時まで残業した翌日は9時ではなく10時出社。十分な睡眠時間が確保できるとともに、朝の満員電車回避などにもなります。
従業員のライフ・ワーク・バランスを整えることで、モチベーションの保持や離職の抑止にも効果も。勤務間インターバル制度の導入は、生産性向上にもつながるでしょう。
あくまで努力義務なので法的な罰則はありません。ただし就業規則に勤務間インターバル制度の導入を明記して雇用契約を交わしている場合、適切なインターバル時間が確保されないと労働契約違反になることもあります。
1.最大100万円の助成金支給
勤務間インターバル制度導入に際し、諸条件を満たせば最大で100万円の助成金を受け取ることができます。
詳しくはこちらをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150891.html
2.大手企業も導入
飲料水メーカーのコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社や、大手情報通信業のソフトバンク株式会社など多くの企業が導入しています。
導入事例一覧は下記へ。
https://work-holiday.mhlw.go.jp/case/index.php?action_kouhyou_caseadvanced_interval=true
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働き方改革の実現に向けて、各企業は中長期経営計画による指針の盛り込みや推進プロジェクトチームの発足といった対策を行っています。特に従業員の勤務状況を把握するシフト担当者は、上記4つのポイントを正しく理解した対応が求められます。
今回ご紹介したポイントは解決方法と共にダウンロード資料として用意しておりますので、よろしければ下の画像をクリックしてダウンロードしてください。
これらの問題はシフト作成を行うにあたり解決していく必要がありますが、人の手ではどうしても難しい部分があります。そのときはシフト管理システムを利用してみるのも一つの手です。
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