「うちのシフトは法律的に大丈夫だろうか?」「従業員から連勤や休憩なしの不満が出ていないか」と不安に感じている労務管理者の方もいるのではないでしょうか。もしかすると、意図せず違法なシフトになってしまっているかもしれません。
法律を知らないままシフトを作成すると、従業員の健康を損なうだけでなく、残業代の未払いや予期せぬ労働トラブルに発展するリスクもあります。
この記事では「労働基準法とシフト勤務」に焦点を当て、専門家監修のもと、違法にならない働き方とシフト作成のポイントをわかりやすく解説します。
最後まで読めば、法令を遵守した安心できるシフト管理の基本を理解し、自信を持ってシフトを作成できるようになるでしょう。
松本幸一(社会保険労務士)
元ハローワーク正職員の社会保険労務士。ハローワーク時代に社会保険労務士試験に合格し、その後社会保険労務士事務所、企業人事部勤務を経て独立。官・民・士業の三視点からのアドバイスを得意とする。独立後は顧問業務のほかWebメディア記事を通じた情報発信などを行っている。
シフト勤務を採用する企業にとって、労働基準法の正確な理解は避けて通れません。シフト作成は法的な制約が多く、誤った運用は法律違反や従業員トラブルにつながる可能性があります。
例えば、「休憩なし」や「連勤」といった従業員からの不満が出る場合、知らず知らずのうちに違法シフトを組んでいることも。労働契約や就業規則の曖昧さは、後に大きな労使紛争を引き起こしかねません。
企業には従業員の健康と権利を守る責任があります。頻繁に改正される労働法を学び、正しいシフト管理を実践することは、企業の信頼維持と、安定した事業運営に不可欠です。
労務管理担当者は、法的知識を深め、従業員が安心して働ける環境を整備するという重要な役割を担います。
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シフト勤務だからといって、法律が免除されるわけではありません。シフト制で働く従業員にも、正社員などと同じように労働基準法が厳格に適用されます。
特に「労働時間」「休憩」「休日」の3つは、シフト作成において必ず守るべき基本ルールです。これらのルールは、労働基準法の第32条、第34条、第35条などで明確に定められており、従業員の健康を守り、過度な労働を防ぐための最低ラインとなっています。
まずは基本となる3つのルールを理解し、法令遵守の意識を持ちましょう。
労働基準法では、労働時間の上限を「1日8時間・週40時間」と定めており、これを「法定労働時間」と呼びます(労働基準法第32条)。シフト制であっても、法定労働時間を超えて働かせることはできません。
例えば、人手不足を補うために「1日10時間勤務」のシフトを組んだ場合、8時間を超えた2時間分は時間外労働(残業)となり、割増賃金の支払いが必要です。週単位でも同様で、7日間で合計40時間を超えるシフトを組むと、超えた分は残業扱いとなります。
シフト作成時には、日ごと・週ごとの労働時間を常に意識し、法定労働時間を超えないように注意しましょう。
この原則を逸脱する場合は「36協定の締結」や「変形労働時間制の導入」が必要ですが、基本はあくまで「1日8時間、週40時間」を守らなければなりません。
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従業員に適切な休憩時間を与えることも、法律で定められた義務です(労働基準法第34条)。シフトの合計時間によって必要な休憩時間が決まっており、これを下回ることは認められません。
具体的には、労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも60分の休憩が必要です。注意すべきなのは、1分でも超えて「6時間1分」働いた瞬間に45分の休憩を与える義務が発生する点です。
また、休憩は労働時間の「途中」に与えなければなりません。「忙しいから終業前にまとめて1時間休憩」といった対応は違法となるため、必ずシフトの間に組み込むようにしましょう。
企業は従業員に対し、原則として「毎週少なくとも1回」の休日を与えなければなりません(労働基準法第35条)。これが「法定休日」です。
ただし、シフト制などで毎週1回の休日確保が難しい場合は、「4週間を通じて4日以上」の休日を与える「変形休日制」という例外的な制度も認められています。この制度を導入すれば「3週間連続勤務のあとに4連休」といったシフトも可能です。
しかし「変形休日制」を適用するには、就業規則に「4週間の起算日」を明確に定めておく必要があります。起算日が曖昧なままでは、意図せず連続勤務が長くなりすぎ、違法となる恐れがあるため注意しましょう。
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法定労働時間を超えて従業員に労働させる場合や、法定休日に労働させる場合には、「時間外労働・休日労働に関する協定」通称「36(サブロク)協定」の締結と労働基準監督署への届出が必須です(労働基準法第36条)。
ただし、36協定を締結した場合でも、原則として「月45時間、年360時間」の上限は守らなければなりません。特別な事情がある場合に限り「特別条項付き36協定」を締結すれば、この上限を超えることが認められます。
その際も「年720時間以内」「休日労働を含め月100時間未満」「複数月平均80時間以内」といった厳格な上限が適用されます。やむを得ない場合を除き、時間外労働は必要最小限にとどめるべきです。
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シフト作成においては「良かれと思って組んだが、実は法律違反だった」といった事態になりがちです。意図せず法律に違反してしまい、従業員とのトラブルや企業の信用失墜につながるケースも少なくありません。
ここでは、特に注意したい労働基準法違反の典型例と、それに伴うリスクについて具体的に解説します。
「忙しくてお昼休憩が取れなかった」「ワンオペなので代わってくれる人がいない」といった理由で、法律で定められた休憩時間を与えないケースがあります。労働時間が6時間を超えれば45分以上の休憩が義務であり、これを怠ると法律違反です。
また、人手不足を理由に「気づけば10連勤になっていた」という事例もあります。労働基準法では原則「週に1日」または「4週間に4日」の休日を与えなければなりません。長すぎる連勤は法律違反となるうえ、労働災害のリスクも高めます。
「サービス残業」や「残業代の未払い」は、特に若年層の従業員から不満の声が上がることが多い深刻な労働基準法違反です。例えば、「終業後に片付けや準備作業を無償で行わせる」「持ち帰り仕事をさせているが残業としてカウントしない」といったケースが挙げられます。
会社の指揮命令下にある時間は労働時間です。着替えの時間や朝礼なども労働時間に含まれるため、注意が必要です。特に学生のアルバイトなどは「そういうものだと思っていた」「断りづらい」といった理由から、サービス残業が常態化しやすい傾向にあります。
未払いの残業代は、後からまとめて請求される可能性もあるため、徹底した管理が必要です。
「予約が少ないから、明日は休んでほしい」など、会社都合で一方的にシフトを変更したり、シフトカットすることは、原則として認められません。
一度従業員と合意して確定したシフトは、法的な効力を持つ「労働契約」だからです。従業員の同意なくシフトを削った場合、会社都合の休業とみなされ、平均賃金の6割以上の「休業手当」を支払う義務が生じます(労働基準法第26条)。
さらに、休業手当を正しく支払わない場合は、法律違反となり、30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働基準法第120条)。
なお、「急に団体予約が入ったから、シフトを延長してほしい」という場合には、できる限り事前に労働者と協議のうえシフトを変更することで、シフト変更によるトラブルを予防することができます。
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「夜勤が終わって、翌朝すぐに出勤」といった、従業員の休息時間を十分に確保しない過密なシフトは、重大な健康被害や事故につながるリスクがあります。2019年の働き方改革関連法の施行により「勤務間インターバル制度」の導入が企業の努力義務となりました。
(引用元:厚生労働省|勤務間インターバル制度について)
これは、終業時刻から次の始業時刻までの間に、一定時間以上の休息時間(9時間から11時間を推奨)を設けることを義務付けたり、努力義務としたりする制度です。労働基準法には直接的な規定はありませんが、国の「働き方改革」の一環として導入が推奨されており、企業には努力義務が課されています。
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「月によって忙しさが全然違う」「24時間体制での対応が必要」といった職場では、原則に沿ったシフト作成が難しいでしょう。そのような特殊なケースに対応するため、法律では「変形労働時間制」や「交替勤務」といった柔軟な働き方が認められています。
ただし、これらの制度を導入するには、通常のシフト勤務よりも複雑な法的要件をクリアしなければなりません。手続きを誤ると、気づかぬうちに違法な長時間労働をさせてしまうリスクもあります。
ここでは、特殊な勤務形態を採用する際に、特に注意すべきポイントを詳しく見ていきましょう。
変形労働時間制は、繁忙期と閑散期があるなど、業務の繁閑に合わせて労働時間を調整できる制度です。一定期間を平均して法定労働時間内に収めれば、特定の日に法定労働時間を超えて働かせても、時間外労働の割増賃金が発生しない場合があります。
主なものに「1ヶ月単位の変形労働時間制」と「1年単位の変形労働時間制」があります。
1ヶ月単位の変形労働時間制は、1ヶ月以内の期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えないように設定する制度です。導入するには、就業規則または労使協定で、対象期間、起算日、労働時間などを具体的に定める必要があります。
1年単位の変形労働時間制は、1ヶ月を超え1年以内の期間を平均して1週間の労働時間が40時間を超えないように設定する制度で、導入には労使協定の締結と労働基準監督署への届出が必須です。
この制度では、1日および1週の労働時間の上限、連続労働日数の上限(原則6日、特定期間は12日)、年間労働日数の上限(280日)など、より詳細な制限が設けられています。導入事例が多いのは、年間を通じて繁忙期と閑散期が明確な製造業や観光業などです。
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病院や工場、コールセンターなど、24時間稼働している職場では「交替勤務」や「夜勤」が一般的です。このような勤務形態では、通常の勤務とは異なる法的注意点がいくつか存在します。
まず、午後10時から翌朝5時までの「深夜労働」に従事する労働者には、通常の賃金に加えて25%以上の割増賃金を支払う義務があります(労働基準法第37条4項)。
さらに、深夜業に従事する従業員に対しては、年に2回、医師による健康診断の実施が義務付けられています(労働安全衛生規則法第45条)。
また、交替勤務ではシフトの組み方が従業員の生活リズムに大きく影響します。例えば、短期間で昼夜の勤務が頻繁に入れ替わるようなシフトは、身体的・精神的な負担が大きくなりがちです。
業種によっては、連続勤務の制限や、特定の時間帯での労働を禁止する規定が設けられている場合もあるため、関係法令を調べておく必要があります。
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警備業や施設管理、タクシー乗務員など、一部の業種では「24時間勤務」や「隔日勤務」といった特殊なシフト形態が採用されています。非常に特殊な勤務形態ですが、適切な管理下であれば違法ではありません。
24時間勤務の場合、全時間が労働時間になるわけではなく、途中に長い「仮眠時間」や休憩が設定されます。ただし、仮眠中に電話対応や緊急出動を命じられた場合、その時間は「労働時間」とみなされるため、注意が必要です。これを「手待ち時間」と呼び、休憩とは明確に区別して管理する必要があります。
隔日勤務は、「出勤日の翌日は必ず休み」というサイクルで「1ヶ月単位の変形労働時間制」と組み合わせて運用されるのが一般的です。1日8時間を超える勤務が可能ですが、あくまで変形労働時間制の枠組みの中での運用であり、月間の総労働時間が法定時間を超えないようにする必要があります。
特殊な勤務形態を導入する際は、労働基準監督署への届出が必要な場合が多く、従業員の健康管理への配慮も欠かせません。具体的な運用にあたっては、社会保険労務士などの専門家への相談をおすすめします。
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近年、従業員の健康維持と生産性向上の観点から「勤務間インターバル制度」が注目されています。これは、労働者が終業してから次の始業までの間に、一定時間以上の休息時間を設けることを目的とした制度です。
長時間労働が問題視される中で、この制度は労働者の健康を守り、ワークライフバランスを実現するための重要な施策として位置づけられています。
勤務間インターバル制度は、従業員の生活時間や睡眠時間を確保するため、2019年4月1日に施行された改正労働時間等設定改善法によって、制度の導入が事業主の「努力義務」として定められました。
「努力義務」とは、法的に強制される「義務」とは異なり、違反しても罰則はありません。しかし「導入するように努めなければならない」という法的な位置づけであり、企業が従業員の健康と安全に配慮するうえで、積極的に取り組むべき課題です。
国は導入企業に対する助成金制度(働き方改革推進支援助成金など)を設けるなど、企業が積極的に導入しやすい環境を整えています。制度の導入は、企業の社会的責任(CSR)を果たすうえでも重要な取り組みです。
勤務間インターバルで設けるべき休息時間について、法律で具体的な時間数が定められているわけではありません。しかし、厚生労働省はガイドラインなどで「9〜11時間」の休息時間を確保することを推奨しています。
例えば、終業が23時になった従業員に対して11時間のインターバルを確保する場合、次の始業は翌朝の10時以降となります。こうしたシフトを意識すれば、従業員は通勤や食事、睡眠といった生活に必要な時間を十分に確保でき、心身ともにリフレッシュした状態で翌日の業務に臨めるでしょう。
自社の状況に合わせて、まずは「9時間以上」を目標に設定するなど、できる範囲から導入を検討することが大切です。
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勤務間インターバル制度の導入は、企業にとって多くのメリットがあります。最も大きなメリットは、従業員の健康維持とエンゲージメントの向上です。
十分な休息が取れることで、従業員のストレスが軽減され、心身の健康が保たれやすくなります。結果的に、病気による欠勤の減少や離職率の低下が期待でき、人材の定着にもつながります。また、企業のイメージアップにもなり、採用活動で強みになることも期待できるでしょう。
一方で、導入にはいくつかの課題も伴います。シフト制勤務を採用している企業では、従業員の労働時間を調整するために、シフト編成が複雑になるかもしれません。人件費の増加や、業務運営上の制約が生じることも考えられます。
しかし、こうした課題に対しては、デジタルツールを活用したシフト管理システムの導入や、従業員との話し合いを通じて理解を深めれば、解決策を見出せます。初期の負担はあっても、長期的に見れば企業の持続的な成長に欠かせない投資となるでしょう。
シフトを作成する際は、多くのルールを守る必要があり、担当者には大きな責任が伴います。法律違反を防ぎ、従業員が安心して働ける環境を整えるために、シフトを公開する前の最終確認として活用できるチェックリストを作成しました。
このリストを使えば、労働基準法の基本から、複雑な制度への対応、そして従業員の健康への配慮まで、抜け漏れなく確認できます。ぜひ、日々のシフト管理にお役立てください。
シフトを作成する際には、まず労働基準法で定められた「労働時間」「休憩」「休日」の基本ルールをクリアしているかを確認しましょう。
□ 1日の労働時間は8時間、週の労働時間は40時間以内に収まっているか
□ 労働時間が6時間を超えるシフトに45分以上、8時間を超えるシフトに60分以上の休憩を入れているか
□ 休憩時間は、勤務時間の「途中」に設定されているか
□ 毎週少なくとも1日の休日、または4週間を通じ4日以上の休日を付与しているか
□ 法定労働時間を超えるシフトがある場合、36協定は締結・届出されているか
□ 残業や深夜労働に対する割増賃金が、正しく計算される仕組みになっているか
□ 変形休日制を導入している場合、4週間の起算日が就業規則で明確に定められているか
「働き方改革」により、勤務間インターバル制度や変形労働時間制の適切な運用がますます重要になっています。以下は、これらの制度を導入している場合に必要となるチェック項目です。
□ 前日の終業から翌日の始業まで、十分な休息時間(9〜11時間)を確保できているか
□ 夜勤明けの従業員に、無理な早朝出勤をさせていないか
□ 就業規則や労使協定で、変形労働時間制の起算日や期間が明確に定められているか
□ 対象期間を平均して、週あたりの労働時間が40時間を超えていないか
□ 対象となる従業員に、あらかじめ各日の勤務時間を具体的に伝えているか
□ 1年単位の場合、年間労働日数の上限や連続勤務日数の上限を超えていないか
□ 労働基準監督署への届出は済んでいるか
□ 残業や法定休日の労働は、36協定の範囲内になっているか
シフト作成においては法令遵守だけでなく、従業員一人ひとりの健康や公平性にも十分な配慮が必要です。企業が、従業員が安心して長く働ける環境を作ることは、生産性の向上にもつながります。
□ 特定の従業員に、連勤や夜勤、休日出勤が偏っていないか
□ シフトが原因で、従業員から心身の不調に関する相談は出ていないか
□ 従業員から提出された希望休は、可能な限り尊重できているか
□ 一方的なシフト変更や、理由の不透明なシフトカットを行っていないか
□ シフトに関する不満や意見を、従業員が気軽に相談できる窓口はあるか
□ 各従業員のスキルや経験を考慮し、無理のない人員配置になっているか
ここでは、特に多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式でわかりやすくお答えします。
自分のケースに当てはめながら、疑問の解消にお役立てください。
いいえ、法律違反となります。
労働基準法第34条では、休憩は「労働時間の途中」に与えなければならないと定められています。そのため、「忙しいから終業前にまとめて1時間休憩」といった運用は認められていません。
労働時間が6時間を1分でも超える場合は45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を、必ず勤務時間の間に設定してください。
原則として、最大6連勤までです。
労働基準法では「毎週少なくとも1回の休日(法定休日)」が義務付けられているため、7日間に1日の休みが必要となり、連続勤務の上限は6日となります。
ただし、例外として「4週間を通じて4日以上」の休日を与える「変形休日制」を就業規則で定めている場合に限り、最大で12連勤まで可能となります。この制度を正しく導入していない状態での6日を超える連勤は、法律違反となるため注意が必要です。
たとえ本人が合意したとしても、会社都合で労働時間を短縮した場合は「休業手当」の支払い義務が発生します。
労働基準法第26条に基づき、早上がりさせた時間に対して、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません。例えば、時給1,000円のスタッフに2時間早く帰ってもらった場合 、単純に2,000円を給与から引くことはできず、最低でも「1,000円 × 2時間 × 60% = 1,200円」の休業手当を支払う必要があります。
一方的にシフトをカットすることは、トラブルの原因となるため、慎重な対応が求められます。
シフト勤務の作成には、労働基準法をはじめとする多くの法律が関係しています。
法定労働時間、休憩、休日、そして残業や変形労働時間制、勤務間インターバル制度といった複雑なルールを遵守することは、従業員の健康と権利を守り、企業が安心して事業を運営するために不可欠です。
誤った知識や認識不足は、意図せず法律違反を招き、労使間のトラブルや企業の信頼失墜につながるリスクがあります。まずは今回ご紹介したチェックリストを活用し、自社のシフトに潜むリスクがないかを確認してみてください。
もし「自社のシフトは本当に大丈夫だろうか」「法律改正に対応できているだろうか」といった不安をお持ちであれば、社会保険労務士などの、専門家のサポートを活用することをおすすめします。
また、従業員の希望を聞きながら、複雑な法律をすべて遵守したシフトを組むのは、非常に手間のかかる大変な作業です。「自社だけでの管理に限界を感じる」「もっと効率的に、間違いのないシフト管理を実現したい」とお考えなら、シフト管理システムの導入も検討しましょう。
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