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シフト制と労働基準法|違法にならないシフト作成のルールと注意点【2026年版】

シフト制で働くパート・アルバイトにも、労働基準法は正社員と同じく適用されます。シフト作成で必ず守るのは「1日8時間・週40時間」「6時間超で45分・8時間超で1時間の休憩」「毎週1日または4週4日の休日」と、超えた場合の36協定・割増賃金です。さらにシフト制ならではの注意点として、労働条件通知書に「シフトによる」とだけ書かない、確定したシフトを一方的に削らない、週4日以下のパートにも有給休暇を付与する、といったルールがあります。この記事では、厚生労働省が2026年6月に改正した「シフト制」の留意事項も踏まえ、シフト作成担当者が押さえるべきルールと違反しやすいポイントをチェックリスト付きで解説します。

この記事でわかること

  • シフト作成で必ず守るべき労働基準法の基本ルール(労働時間・休憩・休日・割増賃金)
  • 労働条件通知書・就業規則に「シフトによる」とだけ書いてはいけない理由と正しい書き方
  • シフトカット・早上がりで休業手当が必要になるケースと計算方法
  • 有給休暇の比例付与、高校生・留学生のシフトで追加で注意するルール
  • シフト公開前に使える法令遵守チェックリスト

この記事の監修者

松本幸一(社会保険労務士)

元ハローワーク正職員の社会保険労務士。ハローワーク時代に社会保険労務士試験に合格し、その後社会保険労務士事務所、企業人事部勤務を経て独立。官・民・士業の三視点からのアドバイスを得意とする。独立後は顧問業務のほかWebメディア記事を通じた情報発信などを行っている。

 

  1. シフト制にも労働基準法は適用される?【結論:雇用形態を問わず全員に適用】
  2. 労働基準法が定めるシフト作成の基本ルール
  3. シフト制の労働契約で決めておくこと|労働条件通知書・就業規則
  4. シフト作成でよくある労働基準法違反とリスク
  5. パート・高校生・留学生のシフトで追加で注意するルール
  6. 変形労働時間制・交替勤務でのシフト作成の注意点
  7. 勤務間インターバル制度とは?健康と労働時間の両立
  8. シフト公開前に確認したい労働基準法チェックリスト
  9. よくある質問
  10. まとめ

【一覧】シフト制で守るべき労働基準法のルール

ルール 守るべき基準 根拠
労働時間 1日8時間・週40時間以内(超える場合は36協定の締結・届出と割増賃金が必要) 労働基準法第32条・第36条
休憩 6時間超は45分以上、8時間超は1時間以上を勤務の途中に 同第34条
休日 毎週1日以上、または4週間で4日以上 同第35条
割増賃金 時間外25%以上(月60時間超は50%以上)、法定休日35%以上、深夜(22時〜5時)25%以上 同第37条
労働条件の明示 始業・終業時刻や休日を「シフトによる」とだけ書かない 同第15条
シフトの変更・カット 確定後の変更は双方の合意が必要。会社都合で休ませたら平均賃金の6割以上の休業手当 労働契約法第8条・労働基準法第26条
年次有給休暇 6か月継続勤務・8割以上出勤で付与。週4日以下のパートにも比例付与 労働基準法第39条
18歳未満 深夜業・時間外労働・休日労働は原則禁止 同第60条・第61条

シフト制にも労働基準法は適用される?【結論:雇用形態を問わず全員に適用】

シフト制とは、雇用契約を結ぶ時点では働く日や時間を確定させず、1週間や1か月ごとに作るシフト表で初めて具体的な勤務日・勤務時間が決まる働き方です。飲食店や小売店のパート・アルバイトで広く使われています。

パート・アルバイト・学生アルバイトも労働基準法上の「労働者」なので、シフト制であっても労働時間・休憩・休日・割増賃金・有給休暇のルールは正社員と同じように適用されます。「アルバイトだから」「シフト制だから」という理由で適用が緩くなることはありません。

厚生労働省の「シフト制」留意事項(2026年6月改正)

シフト制は柔軟に働けるメリットがある一方、「シフトをほとんど入れてもらえない」「希望以上に入れられた」といったトラブルが起きやすい働き方です。そこで厚生労働省は2022年1月にいわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項をまとめ、2026年6月19日に改正しました。

2026年6月の改正では、所定労働日数に応じた有給休暇の比例付与、所定労働日数を算出しにくい場合の付与日数の考え方、有給休暇を取った日の賃金の計算方法が追記されています。この記事の内容も、改正後の留意事項に沿って整理しています。

違反した場合の罰則

シフト作成に関わるルールに違反すると、労働基準法の罰則の対象になります。主なものは次のとおりです。

違反の内容 罰則
36協定なしで法定労働時間を超えさせた/休憩・休日を与えなかった/割増賃金を払わなかった/有給休暇を与えなかった 6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(第119条)
休業手当を払わなかった/労働条件を明示しなかった 30万円以下の罰金(第120条)

罰則だけでなく、残業代の未払いはさかのぼって請求されることがあり、違法なシフトが続けば従業員の離職や健康被害にもつながります。

労働基準法が定めるシフト作成の基本ルール

シフト作成で必ず守る基本ルールは「労働時間」「休憩」「休日」の3つで、労働基準法の第32条・第34条・第35条に定められています。これを超えて働かせる場合に必要になるのが36協定と割増賃金です。

項目 法定基準 超えた場合の対応
労働時間 1日8時間・週40時間 36協定の締結・届出+割増賃金25%以上が必要
休憩時間 6時間超→45分以上、8時間超→1時間以上 労基法違反(罰則あり)
休日 週1回以上(または4週4日以上) 36協定の締結・届出+法定休日労働の割増賃金35%以上が必要

労働時間の上限(1日8時間・週40時間)

法定労働時間の上限は「1日8時間・週40時間」です(労働基準法第32条)。

例えば「1日10時間勤務」のシフトを組んだ場合、8時間を超えた2時間分は時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要です。1日8時間以内でも、1週間の合計が40時間を超えれば超えた分は時間外労働になります。週5日・1日8時間のフルタイムに6日目のシフトを入れると、その日は丸ごと時間外労働です。

この原則を超える場合は「36協定の締結・届出」や「変形労働時間制の導入」が必要です。

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休憩時間の規定(6時間超→45分/8時間超→1時間)

従業員に適切な休憩時間を与えることも法律で定められた義務です(労働基準法第34条)。シフトを組む段階で、次の3点を確認します。

  • 労働時間が6時間を1分でも超えたら45分以上、8時間を超えたら1時間以上の休憩が必要
  • 休憩は勤務時間の「途中」に設定する(終業後のまとめ取りは違法)
  • 電話番や来客対応をしながら待機する「手待ち時間」は休憩に含められない

ちょうど6時間・8時間の勤務であれば、それぞれ休憩0分・45分でも違法ではありません。ただし残業で労働時間が延びると必要な休憩も増えるため、延長の可能性があるシフトは余裕を持って休憩を入れておくと安全です。休憩は分割して与えることもできます。

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休日の規定(週1日 or 4週4休)

企業は従業員に原則「毎週少なくとも1回」の休日を与えなければなりません(労働基準法第35条)。これが「法定休日」です。

シフト制で毎週1回の確保が難しい場合は「変形休日制」が利用できます。「4週間を通じて4日以上」の休日を与えれば、毎週の休日確保は不要です。ただし、就業規則などで「4週間の起算日」を明らかにしておく必要があります(労働基準法施行規則第12条の2第2項)。

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36協定と残業の上限

法定労働時間を超える残業や法定休日の労働には、「36協定」の締結と労働基準監督署への届出が必須です(労働基準法第36条)。36協定を締結した場合も、残業には次の上限があります。

種別 上限
原則(月・年) 月45時間・年360時間
特別条項(年間) 年720時間以内
特別条項(月・休日労働を含む) 月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内(月45時間超は年6か月まで)

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割増賃金の率(時間外・休日・深夜)

シフトで時間外・休日・深夜の勤務が発生した場合は、通常の賃金に次の割増率を上乗せして支払います(労働基準法第37条)。2023年4月からは中小企業も、月60時間を超える時間外労働の割増率が50%以上になっています。

勤務の種類 割増率
時間外労働(1日8時間・週40時間超) 25%以上
時間外労働のうち月60時間を超える部分 50%以上
法定休日の労働 35%以上
深夜労働(午後10時〜午前5時) 25%以上
時間外労働+深夜労働 50%以上
法定休日の労働+深夜労働 60%以上

シフト制の労働契約で決めておくこと|労働条件通知書・就業規則

シフト制のトラブルの多くは、雇用契約の時点で「いつ・どのくらい働くのか」があいまいなまま始まることが原因です。厚生労働省の留意事項では、労働条件通知書と就業規則の書き方、シフトの作成・変更のルールについて、次のように整理されています。

労働条件通知書に「シフトによる」とだけ書くのはNG

雇用契約を結ぶときは、始業・終業の時刻や休日などを書面で明示しなければなりません(労働基準法第15条)。シフト制の場合も同じで、労働条件通知書に単に「シフトによる」と書くだけでは足りません。

項目 不十分な書き方 求められる書き方の例
始業・終業時刻 「シフトによる」 原則的な始業・終業時刻(例:9時〜18時の間で1日4〜6時間)を書いたうえで、最初の1か月分などのシフト表を一緒に渡す。すでに決まっている日は労働日ごとの時刻を書く
休日 「シフトによる」 決まっていればその曜日。決まっていなければ「毎週1日以上」「4週4日以上(起算日:毎月1日)」など休日の基本的な考え方
勤務日数・時間の目安 記載なし 「1か月12日程度」「週平均20時間程度」「毎週月・水・金曜日の中から指定」など(合意した場合は書面で確認)

勤務日数・時間の目安は法律上の明示義務ではありませんが、厚生労働省は労使で話し合って決め、書面で確認しておくことを勧めています。目安があると従業員は収入の見通しが立ち、会社も「シフトを減らされた」という紛争を防ぎやすくなります。有給休暇の付与日数や雇用保険の加入判断の根拠にもなります。

2024年4月から追加された明示事項

2024年4月から、労働条件の明示事項が追加されています。シフト制のパート・アルバイトにも適用されるため、労働条件通知書のひな形が古いままになっていないか確認しておきましょう。

  • すべての労働者:就業場所・業務の「変更の範囲」(将来配置転換の可能性がある店舗や業務)
  • 有期契約の労働者:更新上限(通算契約期間や更新回数の上限)の有無と内容
  • 無期転換の申込みができる有期契約の労働者:無期転換を申し込めることと、転換後の労働条件

就業規則(常時10人以上の事業場)

常時10人以上の労働者を使用する事業場は、始業・終業の時刻や休日を定めた就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出る必要があります(労働基準法第89条)。パート・アルバイトも10人に含めて数えます。

シフト制の従業員について、就業規則に「シフトによる」「個別の労働契約による」とだけ書いた場合は、就業規則の作成義務を果たしたことになりません。基本となる始業・終業の時刻や休日を定めたうえで、「具体的にはシフトによる」と書くのは問題ありません。

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シフトの作成・変更のルールを決めておく

厚生労働省は、会社が一方的にシフトを決めるのは望ましくなく、作成と変更のルールを労使で話し合って決めておくことを勧めています。就業規則などで全員共通のルールにしても構いません。

決めておくこと ルールの例
希望の聞き取り 翌月のシフト希望を毎月15日までにアプリで提出してもらう
確定シフトの通知 翌月のシフトを前月25日までに確定し、アプリと店舗掲示で通知する
シフト期間が始まる前の変更 変更したいときは勤務日の7日前までに申し出て、双方の合意で変更する
シフト期間が始まった後の変更 急な欠勤や会社都合の変更は前日までに連絡し、本人の同意を得る。会社都合で休ませた場合は休業手当を支払う

確定後のシフトの変更は、労働条件の変更にあたります。労働契約法第8条により、会社と従業員の双方が合意したうえで行う必要があります。

シフトはいつまでに出す?何日前に決めるべき?|法律に期限はない

労働基準法や労働契約法には、「シフトを何日前までに出さなければならない」という期限の定めはありません。そのため、シフトが前日に決まること自体は、直ちに違法とはいえません。

ただし、次の場合は注意が必要です。

  • 就業規則や労働条件通知書で通知の期限を決めている場合:「前月25日までに通知する」などと決めていれば、会社はそのルールを守る必要があります。
  • 確定したシフトを前日に減らす・休ませる場合:確定後のシフト変更は労働条件の変更なので、本人の同意が必要です。会社都合で休ませれば休業手当の対象になります(一方的なシフト変更・シフトカット)。
  • 1か月単位の変形労働時間制をとっている場合:期間が始まる前に、各日・各週の労働時間をシフト表などで決めておく必要があります。期間が始まってから会社の都合で自由に変えることはできません。

厚生労働省の「シフト制」留意事項でも、シフトの作成・変更・通知の方法や期限を労使で話し合い、あらかじめルールにしておくことが求められています。上の表の例のように、希望の締切日と確定シフトの通知日を決めて従業員に周知しておくと、「前日に決まって予定が立てられない」というトラブルを防げます。

シフト作成でよくある労働基準法違反とリスク

「良かれと思って組んだシフトが実は違法だった」という事態は珍しくありません。意図しない違反でも、従業員とのトラブルや企業の信用失墜につながります。特に注意すべき4つの違反パターンを解説します。

休憩を与えない/連勤が続く

「忙しくてお昼休憩が取れなかった」「ワンオペで代わりがいない」という理由で法定の休憩を与えないケースがあります。労働時間が6時間を超えれば45分以上の休憩が義務であり、これを怠ると法律違反です。

また、人手不足を理由に休日のない週が続くケースも違法になり得ます。原則「毎週1日」または「4週間で4日」の休日を与えなければなりません。長すぎる連勤は法律違反だけでなく、労働災害や過労のリスクも高めます。

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サービス残業・残業代未払い

「終業後に片付けや準備を無償で行わせる」「持ち帰り仕事を残業としてカウントしない」といった運用は、深刻な労働基準法違反です。会社の指揮命令下にある時間はすべて労働時間です。次の時間も労働時間に含まれます。

  • 着替えの時間(制服への着替えが義務の場合)
  • 朝礼・終礼
  • 業務の事前準備・後片付け
  • 使用者から義務付けられた研修・教育訓練

シフト上の勤務時間と、タイムカードなどの実際の勤務時間がずれていないかを定期的に確認しましょう。未払いの残業代は後からまとめて請求される可能性があります。

一方的なシフト変更・シフトカット

「予約が少ないから明日は休んでほしい」など、確定したシフトを会社都合で一方的に削ることは原則として認められません。確定したシフトの変更は労働条件の変更なので、従業員の同意が必要です。

同意を得たとしても、会社側の事情で休ませた場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたり、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります(労働基準法第26条)。台風で店舗の営業ができないといった不可抗力の場合は対象外ですが、他の業務に就かせる余地があるのに休ませた場合などは不可抗力とは認められにくくなります。

早上がりなど1日の一部だけ休ませた場合は、その日に実際に働いた分の賃金が平均賃金の6割に満たないときに、差額を休業手当として支払います。

例 計算
平均賃金が1日8,000円のスタッフ 休業手当の基準は8,000円×60%=4,800円
8時間のシフトを4時間で早上がり(時給1,100円) 働いた分の賃金は1,100円×4時間=4,400円
支払う休業手当 4,800円−4,400円=400円(働いた分の賃金が4,800円以上なら追加の支払いは不要)

休業手当を支払わない場合は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります(労働基準法第120条)。平均賃金は原則として直前3か月の賃金総額をその期間の暦日数で割って計算しますが、時給制のパート・アルバイトには最低保障額の計算方法もあるため、給与担当者と確認しておきましょう。

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勤務間インターバルを無視した過密シフト

「夜勤が終わって翌朝すぐに出勤」といった過密シフトは、健康被害や事故のリスクを高めます。2019年4月の働き方改革関連法の施行により、「勤務間インターバル制度」の導入が企業の努力義務となりました。

(引用元:厚生労働省|勤務間インターバル制度について)

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遅番の翌日に早番は違法?|禁止はないが休息時間に注意

労働基準法には、遅番の翌日に早番を入れることを禁止する規定はありません。1日8時間・週40時間の上限、休憩、休日、36協定などのルールを守っていれば、それだけで違法になるわけではありません。

ただし、終業から次の始業までの休息時間(勤務間インターバル)を確保することは、労働時間等設定改善法で企業の努力義務とされています。たとえば遅番が23時に終わり、翌日の早番が7時に始まる場合、休息は8時間しかなく、目安とされる9〜11時間を下回ります。

  • トラックなど自動車運転者:改善基準告示(2024年4月改正)で、休息期間は継続11時間以上を与えるよう努め、9時間を下回ってはならないとされています。
  • 健康への影響:休息の短いシフトが続いて体調を崩した場合、会社の安全配慮義務(労働契約法第5条)が問われることがあります。

シフトを組むときは、早番→中番→遅番の順に回す、遅番の翌日は休みか遅番にする、といったルールにしておくと、休息時間の短い「逆戻り」を防げます。休息時間の目安は勤務間インターバル制度の節で解説しています。

パート・高校生・留学生のシフトで追加で注意するルール

パート・アルバイトのシフトでは、基本ルールに加えて有給休暇の比例付与、18歳未満の制限、留学生の就労時間の上限、社会保険・雇用保険の加入にも注意が必要です。

有給休暇:週4日以下のパートにも比例付与される

シフト制のパート・アルバイトでも、雇い入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば年次有給休暇が発生します(労働基準法第39条)。契約期間が6か月未満でも、更新して6か月以上続いていれば対象です。

週の所定労働日数が4日以下(年間216日以下)で、かつ週の所定労働時間が30時間未満の場合は、所定労働日数に応じた日数を付与します(比例付与)。

勤続年数 週4日 週3日 週2日 週1日
6か月 7日 5日 3日 1日
1年6か月 8日 6日 4日 2日
2年6か月 9日 6日 4日 2日
3年6か月 10日 8日 5日 2日
4年6か月 12日 9日 6日 3日
5年6か月 13日 10日 6日 3日
6年6か月以上 15日 11日 7日 3日

※週以外の期間で所定労働日数を決めている場合は、年間の所定労働日数で判断します(週4日=年169〜216日、週3日=年121〜168日、週2日=年73〜120日、週1日=年48〜72日)。

2026年6月改正の留意事項では、次の点が明記されました。

  • 所定労働日数を決めていないことを理由に、有給休暇を付与しないことは認められない
  • 所定労働日数を算出しにくい場合は、雇い入れ後6か月間の勤務日数の実績を2倍した日数(1年6か月以降は前年の勤務日数の実績)を、1年間の所定労働日数とみなして計算してよい
  • 有給休暇を取った日の賃金を「通常の賃金」で支払う場合、時給制なら「時給×その日の所定労働時間」で計算する

付与日数が10日以上になる従業員には、そのうち5日を1年以内に取得させる義務があります(労働基準法第39条第7項)。週4日勤務のパートも3年6か月で10日に達するため、シフトに有給休暇の取得日を計画的に組み込みましょう。

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18歳未満(高校生など):深夜・残業・休日労働は原則禁止

18歳未満の年少者には、労働基準法で次の制限があります。高校生アルバイトをシフトに入れるときは特に注意してください。

制限 内容
深夜業の禁止 午後10時〜午前5時は原則として働かせられない(交替制で働く16歳以上の男性などの例外あり)(第61条)
時間外・休日労働の禁止 36協定があっても残業・法定休日の労働はさせられない。1日8時間・週40時間が上限(第60条)
変形労働時間制 原則として適用できない(1週48時間・1日8時間以内の1か月単位・1年単位などの例外あり)(第60条)
年齢証明書 住民票記載事項証明書など年齢を証明する書類を事業場に備え付ける(第57条)

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外国人留学生:週28時間以内(入管法)

留学生がアルバイトをするには「資格外活動許可」が必要で、働ける時間は原則として週28時間以内(学則で定める長期休業期間は1日8時間以内)です。これは労働基準法ではなく出入国管理及び難民認定法のルールですが、超えて働かせると事業主も不法就労助長罪に問われるおそれがあります。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は合計で28時間以内です。

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社会保険・雇用保険の加入

シフトの組み方によって、社会保険や雇用保険の加入が必要になります。雇用保険は週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば加入対象です(2028年10月からは週10時間以上に拡大予定)。シフトが一時的に20時間を下回っただけではすぐに資格を失いませんが、恒常的に下回る見込みになった時点で対象外になります。

社会保険(健康保険・厚生年金)も週20時間以上などの要件を満たすと加入対象となり、2026年10月からは月額8.8万円以上という賃金要件が撤廃されました。扶養の範囲で働きたい従業員がいる場合は、シフトの時間数と年収の見込みを本人と確認しておきましょう。

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変形労働時間制・交替勤務でのシフト作成の注意点

「月によって忙しさが全然違う」「24時間体制が必要」という職場では、通常のシフト作成だけでは対応が困難です。法律では「変形労働時間制」や「交替勤務」といった柔軟な働き方が認められています。

ただし、これらの制度は通常の勤務よりも複雑な法的要件があります。手続きを誤ると気づかぬうちに違法な長時間労働が発生するリスクがあります。

1ヶ月単位・1年単位の変形労働時間制とは

変形労働時間制(へんけいろうどうじかんせい)とは、一定期間を平均して週40時間以内に収めれば、特定の日に8時間、特定の週に40時間を超えて労働させても、その時間は時間外労働として扱わなくてよい制度です。主な種類と要件は次のとおりです。

種類 対象期間 導入に必要な要件 主な導入業種
1ヶ月単位 1ヶ月以内 就業規則または労使協定で定める(労使協定は労基署へ届出) 小売・飲食・医療
1年単位 1ヶ月超〜1年以内 労使協定の締結+労基署への届出 製造業・観光業

シフト制の従業員に1か月単位の変形労働時間制を使う場合は、就業規則に勤務時間のパターンとその組み合わせの考え方、シフト表の作成手続きと周知方法を定め、対象期間が始まる前にシフトで各日の労働時間を確定させる必要があります。期間の途中で会社の都合により勤務時間を変更することは認められません。

1年単位の変形労働時間制では、さらに以下の制限が設けられています。

  • 1日の労働時間の上限:10時間
  • 1週の労働時間の上限:52時間
  • 連続勤務日数の上限:原則6日(特定期間は1週間に1日の休日が確保できる日数)
  • 年間労働日数の上限:280日(対象期間が3か月を超える場合)

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交替勤務・夜勤における法的注意点

24時間稼働している職場での交替勤務・夜勤には、通常の勤務と異なる法的注意点があります。

  • 午後10時〜翌朝5時の深夜労働には25%以上の割増賃金が必要(労働基準法第37条第4項)
  • 深夜業に常時従事する従業員には6か月以内ごとに1回の医師による健康診断が義務(労働安全衛生規則第45条)
  • 短期間で昼夜が頻繁に入れ替わるシフトは身体的負担が大きく、健康配慮が必要

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24時間勤務・隔日勤務のケース

警備業や施設管理・タクシー乗務員など、一部の業種では24時間勤務や隔日勤務が採用されています。適切な管理下であれば違法ではありませんが、次の点に注意が必要です。

  • 仮眠中に電話対応や緊急出動を命じられる状態で待機する時間は「手待ち時間(労働時間)」とみなされる
  • 隔日勤務は「1ヶ月単位の変形労働時間制」と組み合わせて運用するのが一般的
  • 変形労働時間制の労使協定や36協定など、労基署への届出が必要なものを確認する

具体的な運用にあたっては、社会保険労務士などの専門家への相談を推奨します。

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勤務間インターバル制度とは?健康と労働時間の両立

勤務間インターバル制度とは、終業から次の始業までの間に一定時間以上の休息を設ける制度です。従業員の健康維持と生産性向上の観点から、近年注目が高まっています。

制度の概要と「努力義務」

2019年4月1日施行の改正労働時間等設定改善法により、勤務間インターバル制度の導入が事業主の「努力義務」として定められました。

「努力義務」は違反しても罰則はありませんが、法的に「導入するよう努めなければならない」と位置づけられています。国は導入企業に対する助成金制度(働き方改革推進支援助成金の勤務間インターバル導入コース)も設けています。

目安は9〜11時間の休息時間

法律に具体的な時間数の規定はありませんが、助成金の対象は9時間以上のインターバルで、11時間以上にすると助成額が上がる仕組みです。実務では9〜11時間がひとつの目安になります。

例えば、終業が23時の従業員に11時間のインターバルを確保する場合、翌日の始業は10時以降となります。遅番の翌日に早番を入れる「逆戻り」のシフトは、インターバルが短くなりやすいので注意しましょう。

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企業が導入するメリットと課題

区分 内容
メリット 従業員の健康維持・欠勤減少・離職率低下・採用時の企業イメージ向上
課題 シフト編成の複雑化・人件費の増加・業務運営上の制約

課題に対しては、シフト管理システムの導入や従業員との話し合いによって解決策を見出せます。長期的に見れば、企業の持続的な成長に欠かせない投資となるでしょう。

シフト公開前に確認したい労働基準法チェックリスト

シフトを公開する前の最終確認として活用できるチェックリストです。労働基準法の基本から契約・通知のルール、従業員の健康への配慮まで確認できます。

労働時間・休憩・休日の基本項目

□ 1日の労働時間は8時間、週の労働時間は40時間以内に収まっているか
□ 労働時間が6時間超のシフトに45分以上、8時間超に1時間以上の休憩を入れているか
□ 休憩時間は勤務時間の「途中」に設定されているか
□ 毎週少なくとも1日の休日、または4週間を通じ4日以上の休日を付与しているか
□ 法定労働時間を超えるシフトがある場合、36協定は締結・届出されているか
□ 残業・休日・深夜労働に対する割増賃金が正しく計算される仕組みになっているか
□ 変形休日制を導入している場合、4週間の起算日が就業規則などで明確に定められているか

契約・シフト通知のルール

□ 労働条件通知書の始業・終業時刻と休日が「シフトによる」だけになっていないか
□ 勤務日数・時間の目安を本人と合意し、書面で確認しているか
□ シフト希望の提出期限と、確定シフトの通知期限・方法を決めて周知しているか
□ 確定シフトの変更は本人の同意を得ているか
□ 会社都合で休ませた・早上がりさせた日に休業手当を計算しているか

パート・高校生・留学生

□ 週4日以下のパート・アルバイトにも有給休暇を比例付与しているか
□ 有給休暇が10日以上の従業員に年5日を取得させる計画があるか
□ 18歳未満のスタッフを午後10時以降のシフトや残業に入れていないか
□ 留学生の勤務時間が週28時間以内(掛け持ちを含む)に収まっているか
□ シフトの時間数で社会保険・雇用保険の加入要件を満たす従業員を把握しているか

勤務間インターバル・変形労働時間制への対応

□ 前日の終業から翌日の始業まで十分な休息時間(9〜11時間)を確保できているか
□ 夜勤明けの従業員に無理な早朝出勤をさせていないか
□ 就業規則や労使協定で変形労働時間制の起算日や期間が明確に定められているか
□ 対象期間を平均して、週あたりの労働時間が40時間を超えていないか
□ 対象期間が始まる前に、各日の勤務時間をシフトで確定させて伝えているか
□ 1年単位の場合、年間労働日数の上限(280日)や連続勤務日数の上限を超えていないか
□ 労働基準監督署への届出は済んでいるか

従業員の健康と公平性への配慮

□ 特定の従業員に連勤・夜勤・休日出勤が偏っていないか
□ シフトが原因で心身の不調に関する相談は出ていないか
□ 従業員から提出された希望休は可能な限り尊重できているか
□ シフトに関する不満や意見を従業員が気軽に相談できる窓口はあるか
□ 各従業員のスキルや経験を考慮し、無理のない人員配置になっているか

よくある質問

シフト制のパート・アルバイトにも労働基準法は適用されますか?

はい、適用されます。労働基準法は雇用形態にかかわらず、パート・アルバイト・学生アルバイトを含むすべての労働者に適用されます。シフト制であっても、1日8時間・週40時間の法定労働時間、6時間超で45分以上・8時間超で1時間以上の休憩、毎週1日または4週4日以上の休日、時間外・休日・深夜の割増賃金、年次有給休暇の付与といったルールは正社員と同じように守る必要があります。

労働条件通知書の始業・終業時刻を「シフトによる」とだけ書くのは違法ですか?

「シフトによる」とだけ書くのでは足りません。厚生労働省の留意事項では、契約時点で決まっている日は労働日ごとの始業・終業時刻を書くか、原則的な始業・終業時刻を書いたうえで、最初の一定期間分のシフト表を労働条件通知書と一緒に渡すなどの対応が必要とされています。休日も、曜日が決まっていない場合は「毎週1日以上」「4週4日以上」など休日の基本的な考え方を明示します。

確定したシフトを会社の都合で減らしたり、早上がりさせたりしてもよいですか?

確定したシフトの変更は労働条件の変更にあたるため、会社と従業員の双方の合意が必要です。客足が少ないなど会社側の事情で休ませたり早上がりさせたりした場合は、使用者の責に帰すべき事由による休業として、平均賃金の6割以上の休業手当が必要になります。早上がりのように1日の一部だけ休ませた場合は、その日に実際に働いた分の賃金が平均賃金の6割に満たないときに、差額を休業手当として支払います。

シフトの連続勤務は法律上何日までできますか?

労働基準法に連続勤務日数そのものの上限はなく、休日のルールから上限が決まります。毎週1日の休日を与える場合、週の区切り方によっては理論上12連勤まで起こり得ます。4週4日以上の休日とする変形休日制では、さらに長い連勤も理論上は可能です。ただし長い連勤は健康を損ない、会社の安全配慮義務の問題にもなるため、実務では6連勤以内を目安にシフトを組むのが安全です。

36協定を締結すれば、残業に上限はなくなりますか?

いいえ、36協定を締結しても残業には上限があります。原則は月45時間・年360時間です。特別条項付きの36協定を結んだ場合でも、年720時間以内、休日労働を含めて月100時間未満、2〜6か月平均で80時間以内という上限があり、これを超えると6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。

シフト制のパートにも有給休暇はありますか?何日もらえますか?

あります。雇い入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤していれば有給休暇が発生します。週の所定労働日数が4日以下かつ週30時間未満の場合は日数に応じた比例付与となり、6か月経過時点で週4日なら7日、週3日なら5日、週2日なら3日、週1日なら1日です。所定労働日数を決めていないことを理由に付与しないことは認められず、算出しにくい場合は雇い入れ後6か月間の勤務日数の実績を2倍した日数などで計算できます。

高校生のアルバイトは何時まで働かせられますか?

18歳未満の年少者は、原則として午後10時から午前5時までの深夜に働かせることができません。そのため高校生のシフトは午後10時までに終わるように組みます。また18歳未満には36協定による残業や休日労働をさせることができないため、1日8時間・週40時間を超えるシフトは組めません。変形労働時間制も原則として適用できず、年齢を証明する書類を事業場に備え付ける必要があります。

深夜労働(夜勤)の割増賃金は、通常の残業代と何が違うのですか?

深夜労働(午後10時〜翌朝5時)には、残業かどうかに関係なく25%以上の割増賃金が必要です(労働基準法第37条第4項)。時間外労働の割増も25%以上ですが、深夜に残業した場合は両方が重なり合計50%以上、法定休日の深夜労働は合計60%以上になります。また、深夜業に常時従事する労働者には、6か月以内ごとに1回の健康診断の実施が義務付けられています。

忙しくてまとまった休憩が取れない場合、勤務終了後にまとめて休憩させても問題ありませんか?

いいえ、法律違反となります。労働基準法第34条では、休憩は労働時間の途中に与えなければならないと定められています。労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を勤務の間に設定してください。休憩は分割して与えることもできますが、電話番や来客対応をしながら待機している時間は休憩に含められません。

休み希望が通らないのは違法ですか?

休み希望そのものは法律で保障された権利ではないため、希望どおりに休めなくても直ちに違法にはなりません。違法になるのは、法定休日(週1日または4週4日)を与えない場合や、年次有給休暇の請求を正当な理由なく拒む場合です。会社が有給休暇の時季を変更できるのは、その日に休まれると事業の正常な運営が妨げられる場合に限られます。

シフトを入れてもらえない(減らされた)のは違法ですか?

確定したシフトを会社が一方的に削ることは原則として認められず、会社都合で休ませた場合は平均賃金の6割以上の休業手当が必要です。シフトが確定する前でも、労働条件通知書に「週3日程度」などの目安があるのに、それを大きく下回る状態が続くと、契約上のトラブルになりやすくなります。理由を説明して話し合い、目安を見直す場合は本人の合意を得て変更しましょう。

まとめ|シフト制でも労働基準法のルールは同じ。契約とシフトのルールを先に整える

シフト制で働くパート・アルバイトにも、労働基準法は正社員と同じく適用されます。この記事で解説したポイントを整理します。

  • 法定労働時間は「1日8時間・週40時間」。超えるには36協定と割増賃金が必要
  • 休憩は勤務の途中に。6時間超は45分、8時間超は1時間以上
  • 休日は毎週1日または4週4日以上。4週4休は起算日を就業規則などで明確に
  • 労働条件通知書・就業規則に「シフトによる」とだけ書かない
  • 確定シフトの変更は合意が必要。会社都合で休ませたら休業手当(平均賃金の6割以上)
  • 週4日以下のパートにも有給休暇を比例付与。18歳未満は深夜・残業・休日労働が原則禁止
  • 勤務間インターバルは9〜11時間を目安に確保する(努力義務)

「自社のシフトは本当に大丈夫だろうか」「法律改正に対応できているだろうか」という不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家のサポートを活用することをおすすめします。

多くのルールを守りながら従業員の希望を調整するシフト作成は、担当者にとって大きな負担です。連続勤務日数や休日数、必要人数といった条件を毎回手作業で確認しているなら、シフト作成システムの導入も検討しましょう。

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