シフト制の働き方は、短時間勤務のパートやアルバイトのみならず、正社員にも取り入れられています。シフト制の働き方は、平日に出勤して土曜や日曜に休む働き方と比べると休日や勤務時間が固定的ではなく、変則的な点が特徴的です。しかし、ほぼ毎日営業している企業や店舗にとっては、シフト制によって人員を手配できるため、多くの企業で導入しています。
正社員のシフト制は主にどんな業種で取り入れられているのでしょうか。そのほか、正社員がシフト制で働いている場合のメリット・デメリット、シフト作成時に気をつけたいポイントについてもみていきます。
- シフト制とは
- 正社員もシフト制で働く どんな業種で導入されている?
営業時間が長い業種
24時間体制で交替勤務を行う業種 - シフト制で働くメリット
平日に休める
出勤の時間帯とラッシュが重ならないことも
2~3日働けば休める場合も - シフト制で働くデメリット
土日、お盆、年末年始などに連休を取りにくい
ライフスタイルが乱れやすい
緊急対応が必要となる場合も - 正社員のシフトを作成するときに気をつけたいポイントは?
- まとめ
シフト制とは
シフト制とは、休日や働く時間帯が一定ではない働き方のことです。シフト制の働き方は、主に営業時間が長い企業や24時間体制の企業で導入されています。正社員の労働時間は原則として1日あたり8時間と定められていますが、営業時間が長い企業では、業務の開始から終了までの時間はほとんどの場合8時間を超えます。正社員の労働時間を原則として8時間以内に収めるために、職種によっては正社員もシフト制で働くことがあります。
正社員もシフト制で働く どんな業種で導入されている?
正社員の働き方にシフト制を導入している業種としては、下記があげられます。
- 営業時間が長い業種
- 24時間体制で交替勤務を行う業種
・2交替の働き方
・3交替の働き方
・警察や消防の交替制
具体的な業種については次の項目で説明します。
営業時間が長い業種
営業時間が長い業種の例としては、小売店や飲食店などがあげられます。スーパーやドラッグストアなど、小売店の多くは朝から夜まで営業しています。また、飲食店はお昼前に営業を開始し、夜遅くまで営業するケースがほとんどです。これらの業種では開店から閉店まで勤務すると、労働時間は8時間を大きく上回ってしまうため、正社員が開店から閉店まで業務を続けると大幅な長時間労働となってしまいます。正社員の労働時間を8時間以内に抑えるために、これらの業種ではシフト制を導入しています。
例として、朝から夜まで営業しているスーパーのシフトは下記のようになります。なお、下記のシフトは休憩時間を1時間含みます。
- 早番:7時~16時
- 中番:10時~19時
- 遅番:15時~24時
上記のようなシフトを組むことにより、開店前から閉店後まで常に社員が1人以上いる形となります。また、中番の人が出勤している時間帯は社員が2人以上となるため、日中の忙しい時間帯であっても十分に対応できます。このように、シフト制によって人員を割り当てることによって、適正な人員で企業や店舗の運営が可能となります。
24時間体制で交替勤務を行う業種
24時間体制で交替勤務を行う業種としては、24時間操業している工場、警察や消防などのほか、病院に勤務する看護師も24時間体制で勤務を行っています。交替勤務は2交替と3交替に分けられます。それぞれの交替制について下記で説明します。
1) 2交替の働き方
2交替では、日勤と夜勤に分かれます。単純に12時間程度で分けるほかにも、日勤は8時間勤務、夜勤は仮眠込みで16時間勤務という形で分ける方法があります。なお、16時間勤務のように、当日の日中から翌朝にかけての勤務を「当直」と呼ぶこともあります。
2交替のシフト例は下記の通りです。いずれも休憩時間を1時間含みます。
- およそ12時間で分ける場合
日勤:8時~20時30分
夜勤:20時~翌朝8時30分
(補足)勤務時間が12時間30分として、30分間で引き継ぎを行う場合あり - 日勤と当直で分ける場合
日勤:8時~17時
当直:16時~翌朝9時
(補足)勤務時間が重なっているタイミングで引き継ぎを行う
2) 3交替の働き方
3交替では、日勤、準夜勤、夜勤に分けられます。日勤とは日中に勤務すること、準夜勤とは夕方から夜遅くにかけて勤務すること、夜勤とは深夜から朝方にかけての勤務となります。そのほか、日勤、準夜勤、夜勤と呼ばず、シフトA、B、Cと呼ぶこともあります。
3交替のシフト例は下記の通りです。いずれも休憩時間を1時間含みます。勤務が重なっている時間帯に引き継ぎを行います。
- 日勤:8時~17時
- 準夜勤:16時~深夜1時
- 夜勤:0時~翌朝9時
3) 警察や消防の交替制
警察や消防の交替制は、上記で説明した2交替制や3交替制とは異なり、独自の交替制シフトが組まれています。働き方の例としては、勤務時間が約16時間、拘束時間は24時間となります。
シフトの例をあげると、出勤時間は朝9時、勤務が終了するのは翌朝9時です。勤務は長時間にわたるため、休憩は昼食休憩、夕食休憩、随時小休憩のほか、深夜に4~5時間程度の仮眠の時間が設けられています。
勤務が終了した日は「非番」となり、多くの場合は翌日が公休となります。また、公休日の次の日は主に当直となり、当日から翌朝までの勤務となります。
シフト制で働くメリット
シフト制で働くメリットとしては、下記があげられます。
- 平日に休める
- 出勤の時間帯とラッシュが重ならないことも
- 2~3日働けば休める場合も
それぞれについて説明します。
平日に休める
シフト制で働くメリットは、平日に休めることです。平日なら店舗やレジャー施設が空いているため、買い物やレジャーをゆっくりと楽しめます。また、銀行や病院など、平日にしか業務を行っていない店舗や施設にも行けるので、さまざまな用事を済ませられます。平日の休みに慣れると、土曜や日曜に休むよりも利便性が高いと感じることがあります。
出勤の時間帯がラッシュと重ならないことも
シフトによっては朝に出勤する必要がないため、出勤の時間帯が通勤ラッシュと重ならないこともあります。朝の電車は混雑が激しいため、通勤するだけで疲れてしまうことも多々ありますが、遅番勤務などで昼前、または午後から出勤する場合は電車が空いているので、余裕を持って出勤できます。
2~3日働けば休める場合も
シフト制なら、2~3日働くと休みとなる場合が多いです。正社員は、原則として1週間あたり2回休むことができますが、シフト制の勤務は基本的に土曜や日曜は出勤となるため、休みは平日に2回取ることが多くなります。
例えば、ある1週間のシフトが下記の通りだとしましょう。
- 日曜日:出勤
- 月曜日:公休
- 火曜日:出勤
- 水曜日:出勤
- 木曜日:公休
- 金曜日:出勤
- 土曜日:出勤
この場合、公休日は月曜日と木曜日となるため、火曜日と水曜日の2日間働けば休みとなります。また、翌週の月曜日が休みなら、金曜日、土曜日、日曜日の3日間働くだけで済みます。シフト制ではなく平日5日間働く仕事の場合、月曜日の朝がゆううつに感じてしまいますが、シフト制で「2~3日働けば休める」と考えれば、休み明けの朝でも気持ちが楽に感じられることでしょう。
エクセルで効率的にシフト表作成・管理!失敗しない3つのポイント
自動作成を特長とするシフト管理システム10選
シフト制で働くデメリット
シフト制で働くデメリットとしては、下記があげられます。
- 土日、お盆、年末年始などに連休を取りにくい
- ライフスタイルが乱れやすい
- 緊急対応が必要となる場合も
それぞれについて説明します。
土日、お盆、年末年始などに連休を取りにくい
シフト制で働く場合は土日休みを取りにくいほか、ゴールデンウイークやお盆、年末年始などに連休を取ることは難しくなります。なぜなら、シフト制で働く場合は、土曜や日曜、お盆や年末年始などであっても通常通り仕事をしなければならないためです。
小売業や飲食業は、お盆や年末年始はハイシーズンで特に忙しくなるため、正社員は原則として出勤しなければならないことを理解しておきましょう。
ライフスタイルが乱れやすい
シフト制で働くと、シフトに応じて出勤時間が変わることがあるため、ライフスタイルが乱れやすくなります。
例えば、下記のようなシフトで出勤するとしましょう。日勤の出勤時間は朝8時、当直の出勤時間は午後4時とします。
- 日勤→当直→公休→日勤→当直
上記のようなシフトだと、出勤時間が異なるだけでなく、夜に眠る時間も異なります。それにともなって、朝に起きたり、お昼ごろに起きたりする日もあるため、生活が不規則になりがちです。
生活が不規則になると身体だけでなく精神的にも疲れやすくなるため、毎日の仕事が負担に感じてしまうこともあるでしょう。日勤や夜勤を繰り返すシフトの場合、夜勤明けの日は午前中に眠っても昼過ぎには起きるなどして、可能な範囲で規則正しい生活に近づける方法で対応してみましょう。
緊急対応が必要な場合も
正社員で働き方がシフト制の場合、休みの日、または勤務が終了した後であっても緊急の対応をしなければならない場合があります。シフト制を導入している企業は、営業時間が長いことが多く、土曜日や日曜日を含めてほぼ休まず毎日営業しているケースが多いです。見方を変えれば、正社員が休みの日でも会社は営業しているため、何らかのトラブルが発生すれば、急きょ緊急対応をするために会社に行かなければならないこともあります。
例えば、飲食店でアルバイトの手配が全くつかない場合に、やむを得ず正社員が休日に出勤するケースがあげられます。緊急対応は極力発生させないことが重要ではありますが、さまざまな事情によってやむを得ず緊急対応をしなければならないこともあり得ます。
正社員のシフトを作成するときに気をつけたいポイントは?
正社員のシフトを作成するときに気をつけたいポイントは、無理のないシフトを作成することです。正社員のシフトを作成する場合、下記のようなシフトになってしまうことがあります。
- <第1週目>
- 日曜:公休
- 月曜:公休
- 火曜:出勤
- 水曜:出勤
- 木曜:出勤
- 金曜:出勤
- 土曜:出勤
- <第2週目>
- 日曜:出勤
- 月曜:出勤
- 火曜:出勤
- 水曜:公休
- 木曜:出勤
- 金曜:公休
- 土曜:出勤
上記のシフトの場合、1週間あたりの公休回数は2回となっていますが、第1週の火曜日から第2週の火曜日まで8日連続で出勤することになります。このようなシフトでは正社員にとって負担となってしまい、モチベーションが下がる原因になるだけでなく、疲れがたまって仕事中にミスをしてしまいがちです。
働きやすいシフトにするなら、下記のように変える方法があります。もともとは第1週の月曜日が公休でしたが、その公休を第1週の金曜日に移動しました。これにより、出勤は4日連続で済みます。シフトに基づいて業務を行う正社員の立場に立ち、無理なく働けるシフトの作成を心がけましょう。
- <第1週目>
- 日曜:公休
- 月曜:出勤
- 火曜:出勤
- 水曜:出勤
- 木曜:出勤
- 金曜:公休
- 土曜:出勤
- <第2週目>
- 日曜:出勤
- 月曜:出勤
- 火曜:出勤
- 水曜:公休
- 木曜:出勤
- 金曜:公休
- 土曜:出勤
まとめ
シフト制を導入すると、正社員の休みを交替制にすることで毎日営業ができるほか、早番の正社員と遅番の正社員を配置することで、常に正社員がいる状態で長時間の営業が可能となります。平日に仕事をして土日に休む正社員と比べると、シフト制の正社員は平日に休むことができ、しかも2~3日出勤すれば休めることが多いため、休み明けの朝はおっくうに感じにくいメリットがあります。多くの企業ではシフト制を導入しているため、シフト制の企業で働く機会があるかもしれません。あらかじめシフト制の内容を理解していれば、シフト制の企業に就職したとき、スムーズに働けることでしょう。
今回、正社員のシフト作成時のポイントとして、公休週2回を例としてあげましたが、場合によっては連休を取得させる必要も出てくるかと思います。JRシステムが提供する「勤務シフト作成お助けマンDay」では、休みの勤務回数や連休の設定、勤務の並び等の勤務条件を考慮して、早番・遅番・夜勤等の「1日1記号を割り当てるシフト表」を作成することが出来ます。
本番利用時と同じ機能を2か月無料でトライアルできますので、システム化によって満足するシフト表作成が行えるかどうか、是非お試しください。