
シフトを作成する場合、作業の内容に応じて必要な人員がそろっているか、従業員の休日日数や労働時間は適正か、人件費予算を守ってシフトを作成しているか、というように、さまざまな条件を満たさなければなりません。シフトの作成はまさに一苦労といえますが、一生懸命にシフトを作ったにもかかわらず、従業員の中には「休日を変更してほしい」「土日の休みを増やしてほしい」と意見を言う人もいます。
このような意見について、数が少しであればシフト管理者は対応するのですが、数が多くなるとシフトに対してわがままな従業員と考えるようになり、対処に手を焼くことになります。このような従業員に対しては、どのように対応すれば良いのでしょうか。今回の記事ではその方法について説明します。
- わがままな従業員はどんなことを言う?
- わがままな従業員に対応する方法は?
- シフトを作成するうえで意識したい点は?
- まとめ

わがままな従業員はどんなことを言う?
多くの従業員は「ほかの従業員に迷惑をかけるといけないから、ある程度は譲歩したうえで重要な箇所のみ伝えよう」と考えるものです。しかし、従業員の中には「自分の都合が最優先」という気持ちからか、まわりの従業員の都合を一切考えず、ささいな予定であったとしてもシフトに対して変更を求める人もいます。
シフトに対してわがままな従業員はどんなことを言ってしまうのでしょうか。その内容について次の項目で説明します。

サービス業にもかかわらず、土日祝日に休みを多く入れる
小売店や飲食店などのサービス業は、土曜や日曜、祝日になると忙しくなるため、多くの従業員に出勤してもらうことが一般的です。それにもかかわらず、土曜や日曜、祝日に休みを多く入れようとする従業員は少なからずいるものです。
子供の学校行事、結婚式や法事などの冠婚葬祭など、土曜や日曜に休まなければならない用事ももちろんありますが「旦那が日曜に休みなので、私も日曜日に休みたい」など、プライベートな要望を出す従業員に対しては困ってしまいます。
休日希望を出すとき、希望できる日数の上限を守らない
シフト管理者がシフトを作成する場合、全ての従業員が公平に休日の希望を取れるようにという観点から、従業員が休日希望を出す場合、希望できる日数に上限を設けることがあります。
例としては「1か月のシフトで休日希望を出せるのは3回まで」というルールがあげられます。それにもかかわらず、外せない用事があるからという理由で、休日希望を出せるのは3回までというルールを守らず、4回も5回も休日希望を出す従業員がいる場合もあります。休日希望のルールを守らず、勝手に休みの希望を多く入れてしまうと、その人だけ休みの希望がたくさん通ってしまう形となるため、不公平な状態になってしまいます。
シフトができあがった後、何回も休日を変更する
シフトを作成する前、従業員に対して休日の希望を取っているにもかかわらず、シフトができあがった後になって、従業員が休日の変更を申し出ることがあります。休日の変更を申し出る回数が1回程度なら、シフト管理者としては変更に応じても良いと思うものです。しかし、1か月の間に3回も4回も休日の変更を申し出る従業員に対しては「なぜ、そんなに休日を変更するのか?」と憤りを感じてしまうのではないでしょうか。
特に、直前になって休日の変更を申し出られると、代わりの従業員の手配がつかず、人手不足の状況で業務を行うことになってしまいます。時間をかけてシフトを作り上げたにもかかわらず、何度もシフトの変更を申し出る従業員がいると、シフトを作り上げた苦労が水の泡になりかねません。
「苦手な従業員とシフトが重ならないようにしてほしい」と伝えてくる
中には「苦手な従業員がいるので、重ならないようにしてほしい」と伝えてくる従業員がいる場合もあります。苦手な人とは仕事をしたくない、という気持ちは誰しも持っているものですが、苦手な人であっても折り合いを付けながら仕事を行うのが大人というものではないでしょうか。それにもかかわらず「苦手な従業員がいるので、重ならないようにしてほしい」という申し出は、まさにわがままといえるでしょう。
仮に、Aさんが苦手に感じる人をBさんとしましょう。実際にシフトを作ってみると、AさんとBさんが一切重ならないシフトを作ることはほぼ困難となります。AさんとBさんがそれぞれ働く時間帯が異なっていれば、AさんとBさんがシフト上で重なることはありませんが、同じ時間帯に働いているなら、一緒に仕事をするのはやむを得ないといえます。
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わがままな従業員に対応する方法は?
シフトに対してわがままな従業員が職場にいると、一人の従業員のわがままが多くの従業員の迷惑にもなりかねず、仕事のモチベーションの低下にもつながりかねません。
シフトの内容に対して従業員がわがままなことを言ってきた場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。対応の方法について、次の項目で説明します。
ルールを守ることを伝え、ルールを守る理由を説明する
わがままな従業員に対しては、シフトを決めるときにはルールがあり、そのルールを守らなければならない、ということをはっきりと伝えましょう。
シフトを決めるときのルールの例としては「休日希望を出せるのは3回」があげられます。もし、休日希望の回数に上限を設けなければ、忙しい日に休日希望が殺到することがある一方で、比較的余裕のある日に全員が出勤するような状況になってしまいます。つまり、従業員の都合でシフトができあがっているような状態となってしまい、サービスの利用者にとっては不便を感じるような状況になりかねません。従業員の都合ばかり聞きながらシフトを作っていると、利用者からは不便だというクレームが入りやすくなり、ひいては会社の売上が減少する原因にもなってしまいます。
このような理由があるからこそ、シフトを作成するときには一定のルールが設けられているのです。会社という組織で働きたいなら、自分の都合ばかり押し通すのではなく、相手の立場も考えながら働くことが重要といえます。
なぜわがままなこと言うのか、その理由を聞いてみる
従業員のわがままな発言に対しては、毅然と対応することが重要といえますが、頭ごなしにわがままな発言を否定する前に、なぜわがままなことを言うのか、その理由を聞いてみることも大切です。
例えば、毎週日曜日に休みを入れようとしている従業員に対し「どうして日曜日ばかり休日希望を入れようとするんですか?」と質問するとしましょう。その答えとして「子供が小さく、平日は保育園に預けられるけれど、日曜日は保育園が休みなので私が面倒を見なければならない」とします。子供を優先したい母親の気持ちも理解できますが、職場としては日曜日は人手がほしいところです。妥協案として、日曜日に休めるのは2回までにして、他の日曜には日曜保育や親戚に子供を預かってもらうことを提案する方法もあるでしょう。それが難しい場合には、退職もやむを得ないといえます。なお、このような状況を防ぐためは、面接の際に「原則として土曜・日曜・祝日は出勤してもらいます。それができない場合は採用を見送ります」と伝えておくべきです。
度が過ぎる場合は解雇も視野に入れる
あまりにもわがままの程度が明らかに度が過ぎている場合は、解雇も視野に入ります。ただし、パートやアルバイトであっても解雇するには明確な理由が必要となります。
明確な理由の例としては下記があげられます。
「シフトの要望に対して自己中心的であるため、再三にわたって注意したものの、一向に注意を守らないこと。それにより、他の従業員から不満が生じるなど、業務の運営に支障が生じているため」
なお、解雇する場合には、以下の2つのうち、いずれかの方法で行います。
- ・30日以上前に予告してから解雇する
・即解雇する場合は、解雇予告手当を支払ったうえで解雇する
そのほか、期間を定めた雇用契約を締結している場合は、雇用期間が終了したときに更新しない方法もあります。この方法はあくまでも契約終了の扱いとなるため、解雇とはなりません。ただし、契約期間が終了するまでは勤務し続けることになるため、早々と辞めてもらいたい場合は、解雇した方が良い場合もあります。

シフトを作成するうえで意識したい点は?
シフト管理者がシフトを作成するうえで意識したい点は、全ての従業員に対して公平なシフトを作ることです。公平さを示す指標としては、休日希望を出す場合に上限を守っているか、土日祝日など、忙しい日に休む回数を少なめに抑えているか、というものがあげられます。従業員としては、できる限り自分の都合を優先させたいと考えることがありますが、全ての従業員が自分の都合を優先させてしまうと、忙しい日に人手が不足してしまい、顧客に提供するサービスの質が低下することにもなりかねません。
シフト管理者がシフトを作成する場合は、顧客に十分なサービスを提供できるかどうか、という視点を持つことが前提となります。ただし、従業員としては、どうしても外せない用事が入ることがあります。そのために、シフト制の職場では休日希望を出せるようにしておくことが多いです。公平なシフトを作成したうえで更に自分の都合を要求する従業員に対しては「顧客やまわりの従業員など、周囲の人たちの立場も考えたうえでシフトの要望を出すようにしてほしい」と伝えるべきではないでしょうか。
従業員の中には、できあがったシフトに対してわがままなことを言う人がいます。家庭の事情などによってやむを得ず休日の変更を申し出る場合もありますが、あくまでも個人的な事情によって休日の変更を申し出るケースもあり得ます。働きやすい環境を保つためには、従業員の間で公平な状態を維持することがポイントとなります。公平性が保たれたシフトであるにもかかわらず、休日の変更を何度も申し出る従業員がいたら「自分の都合で何度もシフトを変えることはしないでほしい」と伝えることも必要でしょう。