シフト制で働いている場合、収入が一定額を超えると社会保険、または国民健康保険に加入する必要があります。
社会保険や国民健康保険に加入するなら「これらの保険はどのようなものか」という内容について理解しておきたいところです。
この記事では、社会保険や国民健康保険の内容について説明したうえで、これらの保険に加入できる条件について説明します。
この記事を読んで「今の収入なら保険に加入できるかどうか」ということを理解できるようにしておきましょう。
社会保険・国民健康保険とは
シフト制で働く場合、給料の額によって「社会保険」、または「国民健康保険」のいずれかに加入しなければならない場合があります。
はじめに、「社会保険」と「国民健康保険」の内容について理解しておきましょう。
社会保険
「社会保険」とは、病気やけが、失業による収入の減少、介護が必要になったときに備えるための保険で、会社員や公務員など職場で雇用される人が加入できる保険です。保険料は会社側と労働者の双方が負担します。
「社会保険」は、広い意味では下記の5種類の保険を総称したものです。
・厚生年金保険
・介護保険
・雇用保険
・労災保険
このうち、雇用保険と労災保険は一般的には「労働保険」に分類されます。
そのため、「社会保険」とは健康保険・厚生年金保険・介護保険の3種類を指す場合があります。
国民健康保険
「国民健康保険」とは、社会保険に未加入の人などを対象とした保険制度です。保険料は加入者が支払い、病気やけがに備えます。
「国民健康保険」は、国民全員が健康保険に加入する「国民皆保険」の考え方を基礎としています。
「国民健康保険」の対象となる人は下記の通りです。
■国民健康保険の対象者
・労働者を対象とした健康保険に加入していない人
・後期高齢者医療制度の対象ではない人
・生活保護を受けていない人
・後期高齢者医療制度の対象ではない人
・生活保護を受けていない人
上記の条件を満たす人としては、下記があげられます。
■国民健康保険対象者の例
・自営業者(個人事業主、農業や漁業の従事者も含む)
・パートやアルバイトで、職場の健康保険の加入条件を満たさない人
・無職の人
・外国人登録をした外国人で、日本に3ヶ月以上の滞在が認められた人
・パートやアルバイトで、職場の健康保険の加入条件を満たさない人
・無職の人
・外国人登録をした外国人で、日本に3ヶ月以上の滞在が認められた人
シフト制で働くパートやアルバイトは、年収や会社規模によって「社会保険」または「国民健康保険」に加入するか、あるいは保険に加入しなくても良いかが決まります。
次の項目では、「社会保険」に加入できる条件について説明します。
社会保険に加入できる条件
シフト制の働き方で「社会保険」に加入できる条件は下記の2種類があります。
・年収130万円を超えた場合
・年収106万円を超えた場合
・年収106万円を超えた場合
シフト制で掛け持ちして年収の合計が130万円を超えた場合は「社会保険」に加入しなければなりません。ただし、一定の条件を満たすと年収106万円を超えた時点で「社会保険」に加入する必要があります。
これらの年収を超えた場合に「社会保険」に加入しなければならない理由について説明します。
これらの年収を超えた場合に「社会保険」に加入しなければならない理由について説明します。
年収130万円を超えた場合
年収130万円を超えると「社会保険」に加入しなければならない理由は、配偶者や親の扶養から外れるためです。
「扶養」とは、収入が少なくて自分一人で生計を立てることが難しいために、家族から経済的な支援を受けることを意味します。主に扶養する人は夫、または親であり、主に扶養される人は妻、または子供となります。
扶養している人は「扶養控除」を受けられます。
「扶養控除」には下記の2種類があります。
■扶養控除の種類
・税制上の扶養:
・税制上の扶養:
扶養する人が税金面でさまざま控除を受けられる
所得税や住民税が控除されるほか、配偶者控除または配偶者特別控除を受けられる
・社会保険上の扶養:
所得税や住民税が控除されるほか、配偶者控除または配偶者特別控除を受けられる
・社会保険上の扶養:
扶養される人は社会保険料の支払いが免除される
ここでは「社会保険上の扶養」についてみていきます。
上記で説明した通り、扶養される人は健康保険や年金保険など、社会保険料の支払いが免除されます。
2022年の時点では、扶養されなくても生計が立てられ、なおかつ社会保険料を支払えるとみなされる年収は130万円を超えた場合と決められています。そのため、扶養されている人がパートやアルバイトで年収130万円以上を稼いでしまうと「扶養されなくても生計を立てられ、社会保険料を支払える」とみなされ、扶養から外れてしまうのです。
上記の理由により、シフト制の働き方であっても合計の年収が130万円を超える場合は「社会保険」に加入する必要があります。
年収106万円を超えた場合
先の項目で年収が130万円を超えた場合に「社会保険」に加入しなければならないことを説明しました。
しかし、一定の条件を満たすと、年収が106万円を超えた場合に「社会保険」にも加入しなければなりません。
■年収106万円を超えたときに社会保険に加入する条件
下記5種類の条件を満たすと、年収106万円を超えたときに「社会保険」に加入する必要があります。
・勤務先の従業員数が501人以上であること(注1)
・月収が8万8000円以上であること(注2)
・週の労働時間が20時間以上であること
・1年以上の雇用期間が見込まれること(注3)
・学生ではないこと(注4)
注1:勤務先の従業員数について
・2022年10月からは101人以上、2024年10月からは51人以上
注2:下記の手当や賃金は月収に含まれない
・臨時に支給される手当や賞与、残業代や休日・深夜の割増賃金、通勤手当など
注3:雇用期間について
・2022年10月からは2ヶ月を超える雇用の見込みがあること
注4:学生であっても働くことを前提としている場合は対象外
・定時制や夜間部で学んでいる場合、休学中の場合など
・勤務先の従業員数が501人以上であること(注1)
・月収が8万8000円以上であること(注2)
・週の労働時間が20時間以上であること
・1年以上の雇用期間が見込まれること(注3)
・学生ではないこと(注4)
注1:勤務先の従業員数について
・2022年10月からは101人以上、2024年10月からは51人以上
注2:下記の手当や賃金は月収に含まれない
・臨時に支給される手当や賞与、残業代や休日・深夜の割増賃金、通勤手当など
注3:雇用期間について
・2022年10月からは2ヶ月を超える雇用の見込みがあること
注4:学生であっても働くことを前提としている場合は対象外
・定時制や夜間部で学んでいる場合、休学中の場合など
社会保険に加入が必要なその他の条件
なお、前述の条件を満たしていなくても「1日または1週間の労働時間および1ヶ月の労働日数が正社員の3/4以上」という条件を満たした場合は、「社会保険」に加入しなければなりません。
例として正社員の1週間あたりの労働時間が40時間、1ヶ月の労働日数は22日としましょう。(※この労働時間は1日の勤務時間が8時間×5日、労働日数は1ヶ月を30日として、そこから休日8日を引いて求めたものです。)
40時間の3/4は30時間、22日の3/4は16.5日となり、小数点以下を切り上げると17日となります。
この例では、シフト制の働き方で週30時間以上、1ヶ月あたり17日以上出勤した場合は、「社会保険」を支払わなければならなくなることを理解しておきましょう。
ただし、労働時間または労働日数のうち、片方だけが正社員の3/4以上である場合は、「社会保険」の加入は不要です。
例として正社員の1週間あたりの労働時間が40時間、1ヶ月の労働日数は22日としましょう。(※この労働時間は1日の勤務時間が8時間×5日、労働日数は1ヶ月を30日として、そこから休日8日を引いて求めたものです。)
40時間の3/4は30時間、22日の3/4は16.5日となり、小数点以下を切り上げると17日となります。
この例では、シフト制の働き方で週30時間以上、1ヶ月あたり17日以上出勤した場合は、「社会保険」を支払わなければならなくなることを理解しておきましょう。
ただし、労働時間または労働日数のうち、片方だけが正社員の3/4以上である場合は、「社会保険」の加入は不要です。
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シフト制で掛け持ちする場合に保険に加入する必要はある?
シフト制で掛け持ちする場合、「社会保険」や「国民健康保険」に加入する必要があるかどうかは、合計の年収が130万円を超えるか超えないかによります。
また、それぞれの働き先の年収によって「社会保険」に加入するか、あるいは「国民健康保険」に加入するかが決まります。
保険に加入する必要があるか、また、どの保険に加入すれば良いか、という点について下記にまとめました。
また、それぞれの働き先の年収によって「社会保険」に加入するか、あるいは「国民健康保険」に加入するかが決まります。
保険に加入する必要があるか、また、どの保険に加入すれば良いか、という点について下記にまとめました。
■保険加入の要否
・合計の年収が130万円以下
(例)A社の年収50万円 B社の年収70万円
→ いずれの保険も加入が不要
・合計の年収が130万円を超えている
→ いずれかの保険に加入が必要
■必要な場合に加入する保険の目安
(1)それぞれの働き先では年収130万円を超えていない
(例)A社の年収50万円 B社の年収90万円
→ 「国民健康保険」に加入
(2)1社のみで年収130万円を超えている
(例)A社の年収135万円 B社の年収20万円
→ 年収130万円を超えた会社の「社会保険」に加入
(3)複数の会社で年収130万円を超えている場合
(例)A社の年収135万円 B社の年収140万円
→ 両方の会社の社会保険に加入する(「社会保険」の二重加入)
(3)の「社会保険」に二重加入する場合、加入手続はどちらかの会社で行います。
■必要な場合に加入する保険の目安
(1)それぞれの働き先では年収130万円を超えていない
(例)A社の年収50万円 B社の年収90万円
→ 「国民健康保険」に加入
(2)1社のみで年収130万円を超えている
(例)A社の年収135万円 B社の年収20万円
→ 年収130万円を超えた会社の「社会保険」に加入
(3)複数の会社で年収130万円を超えている場合
(例)A社の年収135万円 B社の年収140万円
→ 両方の会社の社会保険に加入する(「社会保険」の二重加入)
(3)の「社会保険」に二重加入する場合、加入手続はどちらかの会社で行います。
ただし「雇用保険」は二重加入が認められていません。
掛け持ちで年収106万円を超えたら社会保険に加入しなければならないケース
掛け持ちで年収106万円を超えた時点で「社会保険」に加入しなければならないケースとしては、下記があげられます。
(例)A社の年収が110万円、B社の年収が15万円の場合
上記の例の場合、合計の年収が130万円を超えないため、通常は「社会保険」に加入する必要がありません。
しかし「年収106万円を超えたときに社会保険に加入する条件」を満たしている場合は、A社の年収が110万円ならば、年収106万円を超えているため、A社で「社会保険」に加入しなければなりません。
「社会保険」に加入しなければならないかどうかは、年収130万円を超えているかという点に限らず、年収106万円を超えているかどうかについても考慮しておきましょう。
(例)A社の年収が110万円、B社の年収が15万円の場合
上記の例の場合、合計の年収が130万円を超えないため、通常は「社会保険」に加入する必要がありません。
しかし「年収106万円を超えたときに社会保険に加入する条件」を満たしている場合は、A社の年収が110万円ならば、年収106万円を超えているため、A社で「社会保険」に加入しなければなりません。
「社会保険」に加入しなければならないかどうかは、年収130万円を超えているかという点に限らず、年収106万円を超えているかどうかについても考慮しておきましょう。
年収106万円以下なら社会保険の加入は不要
「社会保険」に加入すると社会保険料を支払わなければならないので、「社会保険」には加入したくないと考える人もいるのではないでしょうか。
年収が106万円以下なら社会保険に加入せずに済みます。シフト勤務を掛け持ちで行っている場合は、合計の年収が106万円以下に抑えられれば「社会保険」の対象にはなりません。
年収が106万円以下なら社会保険に加入せずに済みます。シフト勤務を掛け持ちで行っている場合は、合計の年収が106万円以下に抑えられれば「社会保険」の対象にはなりません。
年収106万円を超えないシフトを作ることがポイント
従業員の「社会保険料の負担を抑えたい」という要望に応えるためには、年収106万円を超えないシフトをあらかじめ作成することがポイントです。
年収106万円を超えないためには、月収を8万8000円以内にする必要があります。時給1000円の場合、1ヶ月の労働時間は88時間以内です。1日4時間勤務なら 月に22日まで働くことができます。
例えば、午前中4時間、または午後から4時間のいずれかのシフトを組み、1か月の出勤日数を22日以内に抑えれば、従業員は「社会保険」に加入せずに済みます。
まとめ
「社会保険」と「国民健康保険」の違いを改めてまとめます。
「社会保険」は、会社員や公務員など、職場に勤める人が加入する保険です。
「国民健康保険」は、「社会保険」などの制度を利用できない自営業者などが加入する保険です。
シフト制で働く場合、配偶者または親の扶養に入っていて年収130万円を超えなければ「社会保険」や「国民健康保険」に加入する必要はありません。
ただし、一定の条件を満たしている場合は、年収が106万円を超えた時点で「社会保険」に加入しなければなりません。
また、「国民健康保険」に加入しなければならないケースとしては、シフト制の仕事を掛け持ちしており、それぞれの会社では「社会保険」に加入する必要がないものの、掛け持ちの合計年収が130万円を超える場合がそれに該当します。つまり、扶養はされていないものの「社会保険」に加入する条件を満たしていない場合は、「国民健康保険」に加入します。
なお、年収が106万円以下の場合は、「社会保険」に加入する必要はありません。
シフト制で働く場合、配偶者または親の扶養に入っていて年収130万円を超えなければ「社会保険」や「国民健康保険」に加入する必要はありません。
ただし、一定の条件を満たしている場合は、年収が106万円を超えた時点で「社会保険」に加入しなければなりません。
また、「国民健康保険」に加入しなければならないケースとしては、シフト制の仕事を掛け持ちしており、それぞれの会社では「社会保険」に加入する必要がないものの、掛け持ちの合計年収が130万円を超える場合がそれに該当します。つまり、扶養はされていないものの「社会保険」に加入する条件を満たしていない場合は、「国民健康保険」に加入します。
なお、年収が106万円以下の場合は、「社会保険」に加入する必要はありません。
掛け持ちの働き方で年収の合計額が106万円を超えそうで、「社会保険」に加入しなければならない場合は、働く時間を抑えることも検討してみましょう。
さて、こうした年収の上限を以下に超えないようにするために必要なことは、「月々何時間くらい働けばいいのだろう」「あと何時間くらい働いたら上限を超えてしまうのだろう」ということを知ることです。しかし、こうしたことを気にしながらシフトを組むのはなかなか骨の折れる作業です。一人一人の従業員の時給や勤務条件も違うため、管理はとても煩雑になります。
そのような場合は、シフト管理システムの導入を検討してみましょう。シフト管理システムなら一人一人の労働時間の上限などを設定した上でシフト表の作成が可能となるため、シフト作成者の負担がかなり軽減されることでしょう。
JRシステムが提供する「勤務シフト作成お助けマン」は、総労働時間やお休みの回数などを設定しつつシフトを自動作成することができます。
「勤務シフト作成お助けマン」には、早番・遅番・夜勤等の「1日1記号を割り当てるシフト表」を作成することが出来る「勤務シフト作成お助けマンDay」と、 10:00~17:30等の「時問を割り当てるシフト表」を作成する「勤務シフト作成お助けマンTime」があります。作成したいシフト表に合わせてサービスを選んでいただくことが可能です。
「お助けマン」では、本番利用時と同じ機能を2か月無料でトライアルできますので、システム化によって満足するシフト表作成が行えるかどうかについて、是非お試しください。