24時間体制で業務を行う企業は、日中や夕方以降、深夜の時間帯にもスタッフを配置しなければなりません。そのため、日勤のほかに夜勤のシフトも設ける必要があります。夜勤は日勤とは異なるシフトであるため、実際にシフトを作成してみると、どのように休憩を取れば良いか、また、休日はどのように設定すれば良いか、ということがわかりにくいと感じるのではないでしょうか。
この記事では、夜勤についての基本的な内容を説明したうえで、夜勤が明けた後の働き方や、夜勤中の休憩の取り方、夜勤明けの休日の取り方について説明します。
- 夜勤とは?
- 夜勤明けに働かせることはできる?
- 夜勤中の休憩、夜勤明けの休日の取り方は?
- 夜勤込みのシフトを作成する場合に、シフト管理者が意識すべき点は?
- まとめ
夜勤とは?
夜勤とは深夜の時間帯に働くことです。一般的には夜から翌朝まで働くことを指し、夜勤を行う主な職種としては、看護や介護、24時間営業のコンビニエンスストアや、24時間稼働する工場などがあげられます。労働基準法では、深夜の時間帯とは午後10時~翌日の午前5時の間を指しており、この時間帯に勤務した場合は、通常の賃金に25%上乗せした賃金を支払います。
夜勤を行う職種の多くは、日中に働く「日勤」と夜勤を組み合わせたシフトにすることが一般的であり、夜勤のみを行う働き方は全体的には少なめといえます。
次の項目では、夜勤を行う職場でみられる「交代制」について説明します。
夜勤は主に「二交代」と「三交代」
夜勤は主に「二交代」と「三交代」に分けられます。
二交代の働き方は、日中に働く「日勤」と夜間に働く「夜勤」の二種類です。二交代の場合、日勤が8時間程度、夜勤が16時間程度の勤務となったり、日勤と夜勤がそれぞれ12時間勤務となったりすることもあります。二交代制の特徴は、夜勤の勤務時間が長くなることです。多くの場合、夜勤では仮眠の時間を確保するなどして、休憩を長めに取るようにしています。
三交代では、日中に働く「日勤」、夕方から深夜にかけて働く「準夜勤」、深夜から朝方にかけて働く「夜勤」の三つがあります。三交代制の場合、いずれも勤務時間はそれぞれ8時間となります。三交代は、二交代のように長時間のシフトとはならない反面、シフトのパターンが3種類あるため生活リズムが崩れやすくなりがちです。
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夜勤明けに働かせることはできる?
夜勤は、深夜の時間帯に働くことであり、日勤よりも疲れがたまりやすいことから、スタッフが夜勤から明けたときは十分に休養できるシフトを作成することが基本となります。しかし、諸事情によってスタッフの手配が非常に難しい場合は、やむを得ず夜勤明けに日勤のシフトを入れざるを得ない状況もあるでしょう。ただし、スタッフにとっては、夜勤明けの後に日勤のシフトが入ると非常につらい状況といえます。夜勤明けの後、すぐに日勤のシフトを入れることは法律上問題はないのか、という観点からみていきます。
法律上は夜勤明けに日勤のシフトを入れても問題なし
法律上は、夜勤明けに日勤のシフトを入れても問題がありません。その理由は、夜勤の日と夜勤明けの日勤は、それぞれ出勤日が別々となるためです。
例えば、下記のようなシフトであるとしましょう。
- 夜勤:日曜日の午後9時から月曜日の午前6時まで
日勤:月曜日の午前9時から午後6時まで
上記のシフトの場合、労働基準法に基づいて判断すると、夜勤は日曜日の業務、日勤は月曜日の業務であり、それぞれ別々の出勤日の扱いとなります。夜勤は月曜日の午前6時に終了し、日勤は月曜日の午前9時から始まるため、スタッフは夜勤が終わってから3時間しか休みがありませんが、法律上では別々の日に出勤しているため、問題はないとみなされます。
日勤明けに夜勤のシフトを入れるケースも問題なし
逆に、日勤明けに夜勤のシフトを入れるケースも法律の面では問題がありません。ただし、このケースでは、日勤と夜勤を合わせて労働時間が8時間を超えた分については割増賃金を支払う必要があります。その理由は、日勤も夜勤も同じ日の労働であるとみなされるためです。
日勤明けに夜勤のシフトを入れた場合の例としては、下記があげられます。
- 日勤:月曜日の午前9時から午後6時まで
夜勤:月曜日の午後9時から火曜日の午前6時まで
このケースでは、日勤の労働時間が8時間であるため、夜勤の労働時間に関しては、全ての時間帯で割増賃金が適用されます。
働き過ぎを防ぐ「勤務間インターバル制度」
夜勤明けに日勤のシフトが入る場合、日勤後に夜勤のシフトが入る場合は、いずれも法律上は問題がないことを先の項目で説明しました。しかし、実際に働くスタッフとしては、ごくわずかな休憩のみで夜勤と日勤を連続するシフトは非常につらいと感じることでしょう。
スタッフが働きやすい環境を維持するために、政府の主導で「働き方改革」が進められていますが、その一環として2019年4月1日より「勤務間インターバル制度」がスタートしました。
勤務間インターバル制度とは?
勤務間インターバル制度を導入した企業においては、業務終了後、次の業務を始めるまでには一定のインターバルを開ける必要があります。なお、この制度は事業主の努力義務であるため、全ての企業においては導入が義務づけられていません。インターバルの時間の目安は11時間ですが、企業の事情により9~11時間程度と幅を持たせることもできます。
勤務間インターバル制度を導入している企業は、夜勤直後に日勤のシフトは入れられない
本来、インターバル制度は、午前中から始めた労働が長時間の残業によって深夜まで及ぶ場合、スタッフが働きやすくするために、翌日の出勤時間を遅めにずらす目的があります。ここで注目したい点は、夜勤後の日勤、あるいは日勤後の夜勤は、見方を変えれば長時間労働ととらえられる点です。
そのような観点から、勤務間インターバル制度を導入している企業では、終業時刻から始業時刻までのインターバルを確保する必要があるため、夜勤直後の日勤、あるいは日勤直後の夜勤は行えないことになります。
夜勤中の休憩、夜勤明けの休日の取り方は?
夜勤は日勤とは異なる働き方となるため、夜勤中の休憩や夜勤明けの休日の取り方は、どのようにすれば良いのか、と疑問に思うこともあるでしょう。特に知っておきたい点は、夜勤の場合にはどの程度の休憩が必要なのか、夜勤明けの日は休日扱いなのか、それとも休日ではないのか、という点ではないでしょうか。
ここでは、夜勤中の休憩の取り方と、夜勤が明けたときの休日の取り方について説明します。
夜勤中の休憩の取り方
夜勤中の休憩の取り方は、労働基準法に基づいて下記の通りに取る必要があります。
- 労働時間が6時間以上8時間以下:最低45分
労働時間が8時間以上:最低1時間
この休憩の取り方は、日勤の場合と同様です。ただし、夜勤の場合、二交代制を取っていると夜の時間帯の勤務が長時間にわたることがあります。そのような場合は、2時間に1回程度の休憩を入れるほかに仮眠の時間も確保して、働きやすい環境としましょう。
夜勤明けの休日の取り方
夜勤明けの場合は、夜勤明けの日が休日扱いにはならず、夜勤が明けた日の次の日が休日となります。
例えば、下記のような形で夜勤のシフトに入ったとしましょう。
- 勤務時間:月曜日の午後9時から火曜日の午前6時まで
この場合、火曜日は休日とはならず、翌日の水曜日が休日となります。
そもそも、休日とは午前0時から24時間にわたって丸一日休める日のことを指します。上記の例で説明すると、夜勤明けとなる火曜日は午前6時まで仕事をしており、火曜日は24時間休むことができません。そのため、火曜日は夜勤明けの日とみなされて休日にはならず、翌日の水曜日が休日となります。夜勤込みのシフトを作成する場合、夜勤明けの日を休日に設定しないように注意しましょう。