保育園では、0歳から小学校入学前までの子どもが保育を受けています。また、両親がともに遅い時間まで働いている家庭の子どもは、一日の大半を保育園で過ごす場合もあります。
保護者の立場からみると、保育園は安心して子どもを預けられる施設といえるでしょう。しかし、保育園では重大な事故の発生を防ぐために、保育士のキャリアやクラスの人数を考慮しながら、子ども一人ひとりをケアできる体制を取っています。
保育園内でのトラブルの発生を防ぐには、職員が無理なく働くことができるシフトを作成することが有効な対策となります。今回は、園児や保護者、保育園運営者、保育士のすべてが安心できるシフト表の作成について紹介します。
保育園におけるシフト表作成の悩み
保育園でシフト表を作成する目的は、保育園の利用者が満足できるサービスを提供するためです。そのために「どの時間帯に何人の保育士が必要か」を考えながらシフト表を作成します。
しかし、実際に保育園のシフト表を作成しようとすると、さまざまな制約があるために、思うように作成できないことも多いのではないでしょうか。ここでは、保育園のシフト作成の悩みについて説明します。
1-1. 労働基準法を守らなければならない
保育園のシフト表を作成する場合は、労働基準法を守ることが原則です。労働基準法では、労働時間は1日あたり8時間以内、1週間あたり40時間以内と定められています。条件によっては残業も認められていますが、働きやすい環境を保つために残業はやむを得ない場合に限ったほうがよいでしょう。
多くの保育園では、働く保護者に合わせて朝早くから夜遅くまで開園しています。そのような状況から、三交代制のシフト制を採用している保育園が多いです。シフトの例をあげると下記の通りとなります。なお、8時間勤務の場合は、途中に1時間の休憩を取ります。
- 早番：7時～16時
- 中番：9時～18時
- 遅番：11時～20時
開園している時間が長い場合、シフトを作成するときには「どの時間帯に何人配置するか」ということを考える必要があります。預かる子どもの人数が多ければ職員を多くする必要があるほか、逆に少なければ保育士の数を減らしても差しつかえありません。また、保育園のシフト表を作成する場合、1日あたりのシフトのほかに1か月単位のシフトも必要となります。
一般的に、保育園は日曜、祝日、年末年始は休園となりますが、土曜日は開園しているところが多いです。1日8時間労働の場合、1週間あたりの勤務日数は5日間となるため、土曜日も開園している保育園では、保育士には平日も休みを取得してもらう必要があります。曜日ごとに何人の園児を預かるかを把握したうえで「どの曜日に保育士が何人必要か」を考えながらシフト表を作成していきます。
さらに、保育園には発表会や遠足といった、保育士が必ず参加しなければならない行事もあるため、シフト作成者は保育園の行事の日程も考慮する必要があります。
1-2. 保育士によって勤務時間が異なる
保育園で働く保育士は、正社員として1日8時間勤務する人がいるほかに、パートの保育士として短時間の働き方をする人もいます。
パートの保育士の勤務時間について例をあげると、下記の通りとなります。なお、6時間勤務の場合は途中で1時間の休憩を取るものとします。
- 4時間勤務：9時～13時 または13時～17時
- 6時間勤務：9時～16時 または11時～18時
シフトの作成者としては、全員が同じ勤務時間ならシフト作成が容易に感じられます。しかし、保育士によって勤務時間が異なると、シフトの作成が難しいと感じやすくなります。
シフトの作成に慣れていないと、午前中・午後などにおいて預かる人数に対して保育士が多すぎる場合や逆に少なすぎる場合が発生することがあります。このようなことにならないよう、シフトを作成する場合は、預かる園児の人数に応じたうえで、保育士の勤務時間を考慮して配置しなければなりません。
1-3. 配置基準を満たしているシフトを作成しなければならない
保育園のシフト表を作成する場合は、労働基準法を守るほかに「配置基準」も満たす必要があります。
保育園が関係する配置基準は、厚生労働省が定めている「児童福祉施設最低基準」です。同基準では「保育士1人で何人の幼児、または乳児の面倒をみるか」という基準を定めています。
同基準によると、保育園では保育士1人に対して下記の人数の乳児・幼児を受け入れられます。
- 乳幼児の年齢保育士1人に対して受け入れられる乳幼児の数
0歳児 ： 3人
1歳・2歳児 ： 6人
3歳児 ： 20人
4歳以上の幼児 ： 30人
3歳児以上の幼児が多い保育園であれば保育士の数を抑えられるのに対し、0歳や1歳児を多く受け入れる保育園では、多くの保育士が必要となります。
配置基準に基づいて必要な保育士の人数を計算し、それに基づいてシフトを作成します。
1-4. 保育園の意向に対応する必要がある
シフトを作成する場合は、法令を遵守したり、配置基準を満たしたりするだけでなく、保育園の意向をくみ取り、それに対応しなければならない場合があります。意向の内容の一例としては「乳幼児クラスはキャリアのある保育士を担当させたい」「新人保育士は4歳、5歳クラスを担当させて経験を積ませたい」という内容などがあげられます。
保育園のサービスレベルの向上を目指すためには、このような保育園側の意向にも対応することも必要でしょう。しかし、上記のような意向に沿った結果「16時まではベテラン、それ以降はキャリアの浅い保育士で管理」という状況になってしまうこともあります。そのような状況では、夕方以降も子どもを預ける保護者としては不安を感じることでしょう。
そのようなことが起きないよう、シフト表を作成する場合は、どの時間帯においても新人とベテランの保育士をバランスよく配置するなど、きめ細やかな配慮が求められます。
子どもの安心を考えたシフトを作成する
保育園には、さまざまな個性を持った子どもが集まっています。どの保育士にもなつく園児がいる反面、特定の保育士にしかなつかない園児もいるものです。特に、乳幼児であれば、担当する保育士が変わると動揺してしまうケースもあります。
場合によっては「園児が昼寝の時間に寝付けなくなり、保育士も休憩時間が取れなくなる」といった悪循環に陥る可能性もあります。交代や引き継ぎの際は、キャリアだけでなくタイミング、園児と保育士の相性なども考えなければなりません。
このようなシフト表の作成や管理業務は、園長や主任などの管理職が担っているのではないでしょうか。本来であれば、ベテランの保育士はしっかり子どもと向き合ったり、新人の教育をしたりする必要があります。しかし、管理業務も行うベテランの保育士がシフト表の作成に時間を多く割いてしまうのは非効率といえます。子どもが安心できる環境を目指すためにも、シフト業務の改善、効率化はすぐに取り組むべきでしょう。
保育現場におけるシフト問題の解決策
それでは、シフト表の作成業務を改善するためには、具体的にどのようなことをすればよいでしょうか。ここでは、保育園でシフトを作成するときに起こり得る問題の解決策についてみていきます。
3-1. シフト作成のコツを活用する
シフトの作成をスムーズに行うためには、シフトを作成するコツを理解することが大切です。それにより、エクセルや手書きでのシフト作成も効率的に行えます。
始めに、時間帯や担当を記号化します。たとえば、早番は「早」、中番は「中」、遅番は「遅」、休みは「休」など、誰もがわかりやすいシンプルな文字で表します。次に、それぞれの曜日や時間帯に職員を何人配置するかを決めます。たとえば、月曜日は「早3人」「中5人」「遅2人」というように、配置基準とキャリアを意識しながら決めていきます。
続いて、シフトのパターンを作ります。一例としては「早・遅・休・早・中・遅」などの働き方のパターンとなります。勤務時間、休日、インターバルなどを考慮しつつ、作成したパターンをそれぞれの保育士に割り当てていきます。一人ずつ、または1日ずつシフトを組み込む方法と比べて、あらかじめ設定した条件にパターンを当てはめていく方がはるかにスムーズです。
ただし、シフトを作成していると、職員の中には「○○日に休みがほしいです」というように休日希望を出すことがあります。そのような場合は、希望する休日を先に決めたうえで、あらかじめ決めておいたシフトのパターンを少し変えることによって対応します。
3-2. 自動作成ツールならシフトを短時間で作成可能
多くの保育園ではエクセルを活用したシフト表の作成、管理を行っているのではないでしょうか。あるいは、エクセルなどで表だけを作成して印刷し、手書きのシフト表を運用している保育園もあるかもしれません。シフトの作成がなかなか進まない理由としては、保育の現場では園児の面倒をみることが優先となるため、椅子に座ってパソコンでシフトを作成する時間を確保することが難しい点です。
さらに、エクセルや手書きでシフト表を作成すると時間がかかります。しかも、エクセルで作成するシフト表は、作成のノウハウを知っているのはシフトを作成する本人だけである場合が多いため、他の人にシフトの作成を任せにくい状態となります。
そのため、いつまでもベテラン保育士が管理業務をしなければならない状況になりがちです。もし、シフト作成の担当者を新しい人に引き継いだ場合、新任の担当者はシフト作成のノウハウを理解していないため「人数不足やキャリアを考慮しない人員配置になってしまう」などのミスも発生しやすくなるでしょう。
シフトの作成を効率化するなら、可能であればシフト作成業務の改善に投資する資金を確保したいところです。しかし、保育園の運営費は保護者が支払う保育料や自治体からの補助金でまかなわれているため、業務改善の費用を十分に確保することは難しいのではないでしょうか。
そこで注目したいツールが「シフト管理システム」です。シフト管理システムは、1台のパソコンとインターネットにアクセスできる環境さえあれば、どんな現場でもすぐに利用することが可能です。新たな機器の導入や大掛かりな工事をする必要がないため、低コストでシフト作成の業務を改善できます。
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保育園でのシフト作成に最適な「シフト管理システム」
シフト管理システムは、人に代わってシステムがシフト表を自動的に作成します。シフト表の管理者は、保育士の名前や必要な職員の人数、休日、割り当てるクラスといった必要事項を入力するだけで済みます。従来は、シフト表の作成に何日もかかっていましたが、シフト管理システムを利用すると、早ければ数分程度でできあがります。
保育園に10人以上の保育士がいる場合や数人のフリーの保育士が数人いる場合、複数の保育園を運営している場合など、シフト表が複雑になりやすい保育園は、シフト管理システムを導入するとシフト作成の効率化が実現します。
シフト管理システムの一例として、JRグループ関連の情報システムに関わる「鉄道情報システム株式会社」が提供する「勤務シフト作成お助けマン」があります。「勤務シフト作成お助けマン」には、早番・遅番・夜勤等の「1日1記号を割り当てるシフト表」を作成することが出来る「勤務シフト作成お助けマンDay」と、 10:00～17:30等の「時問を割り当てるシフト表」を作成して完成通知をLINEやメールで行う「勤務シフト作成お助けマンTime」があります。作成したいシフト表に合わせてサービスを選んでいただくことが可能です。
勤務シフト作成お助けマンはエクセルに近いシフト表画面などが用意されており、直感的でシンプルな操作が可能。誰でもすぐに扱えます。さらに、保育士のキャリアや勤務できるシフトなど、きめ細かい条件設定を可能にした柔軟性もポイント。JR関連のシステム運用で培った万全のセキュリティも選ばれている秘訣といえます。
まとめ
シフト管理システムを導入すると、シフト作成の業務が改善されます。システムを導入することにより、現場で働く保育士の負担が軽減されるだけでなく、子どもを預ける保護者の不安も軽減されるほか、園児のストレス緩和にもつながります。質の高いシフト表を迅速に作成することで、子どもたちと向き合える時間を十分に確保できるようになります。
先ほど紹介した「勤務シフト作成お助けマン」は、本格的に利用しているときと同じ機能が使える「2か月無料トライアル」のサービスを提供しています。システムをお試し導入することによって、納得感のあるシフト表が作成できることをぜひ体感してみてください。
