
「雇用保険は月何時間から入るの?」「シフト制で週によって時間が違うけれど、加入の対象になる?」という疑問に答えます。雇用保険は週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上働く見込みがあれば加入します。月に直すと約87時間(86時間40分)が目安です。この記事では、月と週の換算方法、シフト制での判断の仕方、社会保険との違い、失業給付をもらうための条件、2028年10月の制度改正、労災保険の扱いまで、シフトを組む人と働く人の両方に向けて整理します。
- 結論:雇用保険は週20時間=月約87時間から
- シフト制の雇用保険の加入条件
- 社会保険(週20時間)との違い
- 失業保険をもらう条件は「月11日以上または80時間以上」
- 2028年10月から週10時間以上に拡大
- 労災保険はシフト制・短時間でも全員が対象
- シフトを組む人が気をつけること
- よくある質問
- まとめ
結論:雇用保険は週20時間=月約87時間から
雇用保険の基準は週の時間ですが、シフト制では月単位で働く時間を決めていることも多いため、月の時間に直して考えると分かりやすくなります。換算は「週の時間×52週÷12か月」です。
| 週の所定労働時間 | 月に直すと | 雇用保険 |
|---|---|---|
| 週10時間 | 約43時間20分 | 2028年9月までは対象外(2028年10月から対象) |
| 週20時間 | 約86時間40分(約87時間) | 対象(31日以上の雇用見込みがあれば) |
| 週30時間 | 130時間 | 対象 |
| 週40時間 | 約173時間20分 | 対象 |
月単位で所定労働時間を決めている場合は、反対に「月の時間×12÷52」で週の時間に直して判断します。月87時間なら約20.1時間で週20時間以上、月86時間なら約19.8時間で週20時間未満です。
出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険制度の概要」
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シフト制の雇用保険の加入条件
加入の条件は2つ
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上引き続き雇用される見込みがある(契約期間が31日未満でも、更新の可能性がある場合は含む)
この2つを満たせば、正社員・パート・アルバイトの区別なく加入します。本人が希望するかどうかで決まるものではなく、条件を満たした時点で会社が加入の手続きをします(資格取得届は、雇い入れた月の翌月10日までにハローワークへ提出)。
「所定労働時間」で判断する
所定労働時間とは、労働条件通知書や雇用契約書で決めた、働く予定の時間です。休憩時間や、たまたま発生した残業は含みません。たとえば契約が「週4日・1日5時間(週20時間)」なら、ある週の実際の勤務が16時間だったとしても対象です。
週ごとに時間が違うシフト制の判断
シフト制では、労働条件通知書に「勤務日・勤務時間はシフトによる」と書かれ、週ごとに時間が変わることがあります。この場合は次の順で考えます。
| 契約の書き方 | 判断の仕方 |
|---|---|
| 週の所定労働時間が書かれている(例:週20〜24時間) | 書かれた時間で判断。幅がある場合は平均で考える |
| 月の所定労働時間が書かれている(例:月90時間) | 月の時間×12÷52で週の時間に直す(月90時間→約20.8時間) |
| 「シフトによる」だけで時間が書かれていない | 実際の勤務時間の平均で判断する |
| 契約の時間と実際の時間が大きく違う状態が続いている | 実際の勤務時間の平均で判断する |
後の2つは、厚生労働省が示している「シフト制」の雇用管理の留意事項でも、実際の勤務時間に基づいて平均の労働時間を算定するとされています(厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」)。
計算例
- 1週目18時間・2〜4週目24時間ずつ:4週で90時間 → 平均週22.5時間で対象
- 毎週9〜13時(4時間)を週4日:週16時間 → 対象外
- 毎週11〜17時(休憩1時間、実働5時間)を週4日:週20時間 → 対象
学生・65歳以上・掛け持ちの場合
- 昼間の学生:原則として対象外。卒業後も同じ会社で働く予定の人、休学中の人、定時制の人などは対象
- 65歳以上:条件を満たせば年齢に関係なく対象
- 掛け持ち:雇用保険は、原則として主に生計を立てている1つの会社でしか加入しない。65歳以上で2社の時間を合計して週20時間以上になる人は、本人の申し出で加入できる(マルチジョブホルダー制度)
社会保険(週20時間)との違い
パート・アルバイトの社会保険(健康保険・厚生年金)にも「週20時間」の基準があるため、雇用保険と混同されがちです。違いは次のとおりです。
| 雇用保険 | 社会保険(健康保険・厚生年金) | |
|---|---|---|
| 時間の基準 | 週の所定労働時間20時間以上 | 週の所定労働時間20時間以上(※) |
| 雇用期間 | 31日以上の見込み | 2か月を超える見込み |
| 会社の規模 | 規模に関係なく対象 | 厚生年金の被保険者51人以上の企業など(2027年10月から36人以上)。それより小さい会社は、正社員の4分の3以上働く人が対象 |
| 賃金の基準 | なし | なし(月額8.8万円の要件は2026年10月に撤廃) |
| 学生 | 昼間の学生は原則対象外 | 昼間の学生は原則対象外 |
| 本人の保険料 | 賃金の1%未満 | 賃金の約14〜15%(健康保険・厚生年金の合計。40歳以上は介護保険料も) |
※51人以上の企業などで、正社員より短い時間で働く人の基準。出典:日本年金機構
社会保険も、月単位で所定労働時間を決めている場合は「月の時間×12÷52」で週の時間に直して判断します。週20時間前後で働くスタッフは、雇用保険と社会保険の両方の対象になるかを一緒に確認しておきましょう。
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失業保険をもらう条件は「月11日以上または80時間以上」
雇用保険に入っていると、会社を辞めて次の仕事を探す間に失業給付(基本手当)を受けられます。受け取るには、離職前に一定の「被保険者期間」が必要です。
| 離職の理由 | 必要な被保険者期間 |
|---|---|
| 自己都合など(一般の離職) | 離職前の2年間に通算12か月以上 |
| 倒産・解雇など(特定受給資格者など) | 離職前の1年間に通算6か月以上 |
被保険者期間の「1か月」に数えられるのは、次のどちらかを満たす月です。
- 賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月
- 日数が10日以下でも、労働時間が80時間以上ある月(2020年8月以降の離職から)
「月87時間」は雇用保険に加入するかどうかの目安、「月80時間」は失業給付の期間を数えるときの基準で、使う場面が違います。シフトで出勤日数が少ない月がある人は、日数と時間の両方を確認しておくと安心です。
なお、自己都合で退職した場合は、待期期間7日の後に原則1か月(2025年4月から)の給付制限があります。詳しくはハローワークインターネットサービス「基本手当について」を確認してください。
2028年10月から週10時間以上に拡大
2024年に成立した改正雇用保険法により、2028年10月1日から、雇用保険の加入基準が「週20時間以上」から「週10時間以上」に広がります。月に直すと約43時間20分です。
週10〜20時間で働くパート・アルバイトも対象になるため、扶養の範囲で短い時間だけ働く人の多くが加入対象になります。給与から雇用保険料が引かれるようになる一方で、失業給付や育児休業給付などを受けられるようになります。対象者が増えると手続きも増えるため、シフトを組む側は、週10時間以上のスタッフが何人いるかを早めに把握しておくと準備しやすくなります。
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労災保険はシフト制・短時間でも全員が対象
労災保険は、仕事中や通勤中のけが・病気・死亡に対して、治療費や休業中の給付などを行う制度です。雇用保険と違い、労働時間や雇用期間の条件はありません。週1日・短時間のアルバイトでも、会社に雇われて働く人はすべて対象です。
- 保険料:全額を会社が負担し、働く人の給料からは引かれない
- 理由:労働基準法で、仕事が原因のけが・病気は会社が補償する責任を負っているため。その補償を保険でまかなうのが労災保険
- 手続き:人を1人でも雇えば会社は加入しなければならず、本人の加入手続きは不要
シフトを組む人が気をつけること
- 契約の時間をはっきり書く:「シフトによる」だけでは判断が難しくなる。週や月の所定労働時間の目安を労働条件通知書に書いておく
- 実際の時間を毎月確認する:契約は週20時間未満でも、実際の勤務が週20時間以上の状態が続くと加入対象と判断されることがある。その場合は契約の見直しと加入手続きを
- 雇用保険を理由に時間を削りすぎない:本人の雇用保険料は賃金の1%未満で、失業給付や育児休業給付などの保障がある。扶養の範囲で働きたい人が気にしているのは、多くの場合、雇用保険ではなく社会保険や税金
- 2028年10月に備える:週10時間以上のスタッフも対象になる
一人ひとりの上限時間や契約の時間を守りながら毎月のシフトを組むのは、手作業では手間がかかります。スタッフごとに月の労働時間の上限を設定してシフトを作れるツールを使うと、確認の負担を減らせます。
よくある質問
雇用保険は月何時間から加入しますか?
雇用保険の基準は「週の所定労働時間20時間以上」です。月単位で労働時間を決めている場合は、月の所定労働時間を12分の52で割って週の時間に直して判断するため、月約87時間(86時間40分)以上が目安になります。あわせて、31日以上働く見込みがあることも条件です。
週20時間は月に直すと何時間ですか?
1年を52週として、20時間×52週÷12か月=86.66…時間で、月約86時間40分(約87時間)です。週30時間なら月130時間、週10時間なら月約43時間20分になります。
シフト制で週によって20時間を超えたり超えなかったりする場合は?
雇用保険は、その週の実際の時間ではなく、契約で決めた所定労働時間で判断します。週ごとに所定の時間が違う場合は平均で考えます。契約に時間がはっきり書かれていない場合や、契約と実際の勤務時間が大きく違う状態が続いている場合は、実際の勤務時間の平均で判断されることがあります。
週20時間未満なのに雇用保険に入っているのはなぜですか?
加入時の契約で週20時間以上だった人は、ある週の実際の時間が20時間を下回っても、それだけでは加入資格を失いません。契約を見直して所定労働時間が週20時間未満になった場合は、その時点で資格を失う手続きをします。また、65歳以上で2つの会社の時間を合計して週20時間以上になる人は、本人の申し出で加入できる制度(マルチジョブホルダー制度)もあります。
失業保険をもらうには、月に何日・何時間働く必要がありますか?
失業給付(基本手当)は、原則として離職前の2年間に「被保険者期間」が通算12か月以上必要です。1か月に数えられるのは、賃金の支払いの基礎になった日数が11日以上ある月、または日数が10日以下でも労働時間が80時間以上ある月です。倒産・解雇などで離職した場合は、離職前1年間に6か月以上で受けられます。
学生のアルバイトも雇用保険に入りますか?
昼間の学生は、週20時間以上働いていても原則として対象外です。ただし、卒業見込みで卒業後も同じ会社で働き続ける予定の人、休学中の人、定時制の課程に通う人などは対象になります。
パートやアルバイトも労災保険の対象ですか?
対象です。労災保険は、雇用形態や労働時間にかかわらず、会社に雇われて働くすべての人が対象です。仕事中や通勤中のけが・病気が補償され、保険料は全額を会社が負担します。
2028年10月から雇用保険の条件はどう変わりますか?
2024年に成立した改正雇用保険法により、2028年10月から加入の基準が「週20時間以上」から「週10時間以上」に広がります。月に直すと約43時間です。週10時間以上20時間未満で働くパート・アルバイトも加入対象になるため、シフトを組む側も対象者を把握しておく必要があります。
まとめ
- 雇用保険は、週の所定労働時間20時間以上・31日以上の雇用見込みで加入する
- 週20時間は月約87時間(86時間40分)。月単位の契約は「月の時間×12÷52」で週に直す
- シフト制は契約の所定労働時間で判断し、時間が書かれていない・実態と違う場合は実際の時間の平均で判断する
- 失業給付の期間は「月11日以上または80時間以上」の月を数える
- 2028年10月から週10時間以上に拡大。労災保険は時間に関係なく全員が対象
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