シフト制を導入している職場では、アルバイトスタッフのシフト作成をうまくいかずに悩んでいる担当者も多いのではないでしょうか。スタッフからの不満には様々ありますが、中には「希望を出しているのにシフトに入れてもらえない」というものもあります。
シフト管理者は現状を把握し、理由をきちんと述べることができるでしょうか。そこで今回は、シフトを入れない理由を振り返りながら、正しく判断しているかを見極めていきましょう。
また調整したシフトの組み方、シフト表作成で最低限覚えておきたいポイントについてもまとめています。
- アルバイトのシフトを入れない理由とは?
希望者が多いため
能力調整のため
閑散期のため
遅刻・早退・欠勤が多いため
スタッフ間の相性を見るため - シフト表を組む際に考慮すべきこと
人件費・人時予算・売上を計算しているか
責任者とサブを配置しているか
残業や土日休み、有給休暇に偏りがないか
適切な作業スキルで配置しているか
労働基準法を守っているか
就業規則を守っているか - シフト作成で覚えておきたいポイント
平等なシフト作成を心がける
特定のバイトスタッフに負担をかけない
早めに希望を出してもらう
見やすいシフト表を作成する - まとめ
アルバイトのシフトを入れない理由とは?
アルバイトの中には、希望する日数や時間で働けないと不満を漏らす人もいます。しかし、全てのスタッフが望むとおりのシフトを組むのは、容易なことではありません。
「シフトを入れてほしいのに入れない」状況になった理由を、アルバイトの視点から考え適切な措置を行っているか考えましょう。
希望者が多いため
一般的に、シフトを組む際には希望の日時を出してもらいますが、複数人の希望が同じになってしまうことがあります。主婦や学生のように、「日中だけ」「夕方だけ」など働ける時間が限られている人は同じ日に希望が集中しがちです。
あらかじめ複数の希望日を出してもらうか、予定があるときは早めの報告をお願いし、週や月の間に微調整できるようにしましょう。
能力調整のため
アルバイトのスタッフには、ベテランもいれば新人もいますし、能力もそれぞれ異なります。シフト管理者は、その日の生産性やサービスの質に偏り出ないように調整するため、シフトを入れられないことがあります。
また、飲食店のようにホールスタッフ、調理スタッフなど複数の業務に分かれている場合、それぞれに適した能力のスタッフを配置する必要があり、シフトの調整が必要であることを理解してもらいましょう。
閑散期のため
シフト制を導入している職場は、繁忙期と閑散期、時間帯によっても忙しさは変わります。たくさんアルバイトを入れたいと思っても、閑散期は人件費を抑える必要があるため、入れることができません。
またスタッフが希望する日に、すでに別の希望者が伝えてある場合があります。その場合は優先度を守り、希望日数や希望日を変更してもらいましょう。
遅刻・早退・欠勤が多いため
せっかく人材を採用しても、遅刻や早退、欠勤しがちな人もいます。シフト制の職場は人件費と時間帯を調整して適正な人数を配置しているため、リスクの高い人材はシフトに入れるのが難しくなります。
体調不良は致し方がないですが、注意喚起や警告などを行い、社会人としてマナーを守っているか、信用に値するかを見極めましょう。
スタッフ間の相性を見るため
シフト制はチームとして働くことも多く、スタッフの人間関係によって業務やコミュニケーションが円滑になったり、反対にトラブルが起きたりする可能性がある場合、シフトを調整します。
それぞれの相性をくみ取ったシフトを考えることも重要ですが、働きやすく協力し合える環境作りにも気を配りましょう。
シフト表を組む際に考慮すべきこと
アルバイトの視点でシフトに入れない理由を明確にしたら、今度は事業所・店舗側の視点で考えていきましょう。
人件費・人時予算・売上を計算しているか
人件費を抑えながら成果を出すことが、シフト管理者の目標とも言えます。
そのためには、繁忙期や閑散期の予算や売上、確保する人員数などのマンアワーをしっかりと把握しておきましょう。
マンアワー(人時)は、1人に1時間にかかる作業量を表す単位であり、定型的な作業にかかる指標となります。5人で10時間なら「50人時」、10人で50時間なら「500人時」となります。これを日単位、月単位、年単位で管理していきます。
人時を的確に捉え、設定された予算の範囲内でシフトを組んでいくことが大切です。
責任者とサブを配置しているか
職場の責任者、2番目の立場の人を決め、2人の休みが被らないように配置します。その日、またはその時間の業務がスムーズにいくように必要な指示を出し、スタッフのサポートを行います。
開店時の解錠やレジ開け、閉店時のレジ閉めや戸締まりなどができる担当者、発注日には発注業務ができる担当者を配置することも忘れないようにしましょう。
残業や土日休み、有給休暇に偏りがないか
複数いるバイトの一部スタッフに、残業や休日出勤などの負荷がかかっていないかを考慮します。人手が足りないこともありますが、その人に負荷がかかりすぎないよう、次の日のシフト変更や休日など、調整を行います。
残業や休日出勤が必要な場合は、割増賃金がかかるため予算の範囲内かを確認します。
また、できるだけ全員が休暇を取れるようにシフトを組みましょう。有給休暇などは、早めに申請をしてもらうことで、ほかのスタッフとコミュニケーションを取りながらシフト調整を行うことができます。
適切な作業スキルで配置しているか
生産性の高い職場を作るためには、従業員1人1人のスキルを把握したうえで業務を割り当て、シフトを配置します。新人のアルバイトが多い場合は、ベテランにサポートをお願いします。
職場や業務によっては、閑散期を利用して実地研修を設けているところも少なくありません。採用時だけでなく、人材を見極めスキルのある人材を確保するためにも、スキルアップ研修や教育プログラムも有効な手段と言えます。
労働基準法を守っているか
労働基準法では、法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。シフト管理者はそれを遵守する必要があり、残業や休日出勤、深夜労働などは割増賃金が発生します。
シフトをたくさん入れてほしいという要望がある場合、あらかじめ上限を理解してもらったうえで、希望日数を出してもらいましょう。18歳未満の学生は保護規定が適用されるので、労働条件の見直しを行ってください。
就業規則を守っているか
多店舗展開など中規模・大規模の事業はほぼ就業規則を設けています。会社のルールやマナーを守っているか、適切な態度で働いているかという指標になるもので、会社の質や倫理観にも関わります。
口コミ評価などにも関わると利益に影響するため、シフトを入れない理由としてきちんと説明・警告を行い、改めてもらいましょう。
ただし、独自のルールが多すぎると、新しく来た新人やヘルプに来た同系列のスタッフが戸惑って働きにくい環境になってしまう可能性があります。会社のルールややり方などは常に見直しを行い、情報として共有しましょう。
シフト作成で覚えておきたいポイント
アルバイトの視点・職場の視点でシフトを組むようにすることで、スタッフの理解を得られやすくなりますが、職場で気持ちよく働いてもらい、離職率を減らすためには不満の出にくいシフト表を作成する必要があります。
そのために、いくつか注意したいポイントを押さえておきましょう。
平等なシフト作成を心がける
平等なシフト作成というのは、均等なシフトではなく、1人1人のバイトの希望や条件に沿った働き方ができるように作成することです。希望が被らないように、学生や主婦、フリーター、シニアなど属性の幅を広げていきましょう。
またスタッフの中には、欠員やトラブル、業務が多すぎるなどの理由で急遽シフトに入ってくれる人もいます。困っているときに助けてくれるスタッフはありがたいですが、その人のシフト希望ばかりを優先していないか見直しましょう。
アルバイトスタッフは、学校や家庭の事情に合わせて働いているため、急な依頼に対応できない人も多くいます。対応できる人を「貢献度が高い」、できない人を「貢献度が低い」と判断することはできません。
特定のバイトスタッフに負担をかけない
ある特定の人がいつでも対応してくれるからと言って、頼りすぎてもその人に負荷がかかり、不平等になってしまいます。休日を入れる、有給休暇を促すなどリフレッシュしてもらいましょう。
負担がかかりすぎると、疲労などによって仕事での生産性にも影響が出るほか、離職につながる可能性もあります。急な欠員やトラブルなどに対応できるように、早めの人員確保やシフトの見直し、業務負担の調整など対策を採っておきましょう。
早めに希望を出してもらう
よいシフト表を作成するには、時間をかける必要があります。シフト表の作成は月ごと、2週間ごとなど様々ですが、それぞれに期限を設けて早めに希望を申請してもらいましょう。期限内にシフトに入らないアルバイトもいるため、SNSやコミュニケーションツールを活用して、シフト表を収集する方法もあります。
特に学生などはテスト期間があると勉強でシフトに入れず、希望を出すのを忘れてしまうということもあるので、シフトに入れない期間の連絡をお願いし、状況を把握しておくことも大切です。
見やすいシフト表を作成する
シフト管理者、アルバイトスタッフどちらにも見やすいシフト表を作成しましょう。分かりにくい複雑なシフト表は、ミスを誘発する可能性があります。ミスをすると、スタッフ全員、事業所や店舗に迷惑をかけることにつながってしまいます。
見やすいシフト表は、スタッフもシフトを覚えやすくなるだけでなく、ほかのスタッフと平等にシフトが組まれているか目安にもなります。
雇用形態や勤務体系が複雑になるほど、情報量も増えるので複雑になりがちですが、自分だけが分かるシフト表ではなく、共有できるものを作成するように心がけましょう。
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まとめ
シフトを組むたびに「たくさん稼ぎたいのに入れてもらえない」「どうして希望を聞いてもらえないのか」という不満が出てきてしまうことがあるため、シフト表の作成は困難で頭の痛い作業です。
不満をなくすためには、歩み寄りを求めることも大切です。シフト管理者としての視点だけでなく、実際に働くスタッフの視点とそれぞれの事情も把握していくと、理由など説明しやすくなります。仕事を楽しく、やりがいを感じてもらうためにも、スタッフから相談を受けたときはきちんと受け止め、コミュニケーションを欠かさないようにしていきましょう。
シフト管理者の希望とスタッフの希望を可能な限り満たす方法として、シフト管理システムの利用も一つの手段としておススメです。JRシステムでは、アルバイトやパートを主力した職場に向けて、シフト表自動作成サービス「勤務シフト作成お助けマンTime」の提供を行っています。
スタッフの勤務・休日の日数、労働時間の設定や、店舗における曜日・時間ごとの必要人数の設定および労働基準法に準じた勤務ルールの設定設定を行い、スタッフの希望勤務を取り込むことによって、全ての条件を満たしたシフト表を自動で作成することができます。設定した条件に変更がなければ、誰が作成しても同じ内容のシフト表を作成することが可能です。
また、希望集約や確定したシフト表の確認をスマートフォンで行えるため、転記ミスや伝達ミスでトラブルになることも防止できます。
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