職場によっては「ワンオペ」というシフトが導入されている場合があります。ワンオペとは「One Operation(ワン オペレーション)」を略した単語で、一人で業務を全て行うことを指します。
可能であれば、業務は複数人で行うことが理想といえますが、経費削減の観点からやむを得ずワンオペを導入している職場も見受けられます。実際にワンオペが導入されている場合、どのような問題が起こり得るのか、また、仕事を探している立場の人としては、どうすればワンオペの職場を回避できるのか、という点について説明します。
- ワンオペとは?
- ワンオペの問題点
- ワンオペを回避する方法は?
- ワンオペのシフトを作るときに意識したいことは?
- まとめ
ワンオペとは?
ワンオペとは、全ての業務を一人で行うことを指します。ワンオペが問題となりやすい業種としては飲食業や小売業があげられます。特に、比較的規模が小さめの飲食店やコンビニなどの小売店などでワンオペが行われているケースが見受けられます。
ワンオペが問題視されるのは、本来であれば二人以上で業務を行う必要がある状態であるにもかかわらず、一人で業務を全て行わなければならない場合です。
ごく小規模な飲食店や小売店においてはワンオペが日常的に行われる場合もありますが、もともと一人で業務を行うことを前提としているのであれば、ワンオペとして問題視されることはほぼありません
なぜ、ワンオペになってしまうのか
ワンオペになってしまう背景としては人件費の削減があげられます。企業側としては、働く人数を少なくすれば、人件費を浮かせることができます。
特に、多店舗展開をするチェーン店においては、多くの店舗を運営しなければならないために企業全体の人件費がかさみやすくなる傾向にあります。しかし、各店舗が少しずつ人件費を抑えられれば、企業全体ではまとまった額の人件費を抑えられます。各店舗において人件費を抑えるためには、売上の少ない時間帯の人員を減らすことが効果的です。
深夜も営業している店舗の場合、深夜は客数が少なく、売上が見込めない時間帯であるため、人員削減の対象となります。もともと二人で運営していた場合であっても、一人で運営できるようにすれば人件費を抑えられます。それがワンオペの原因につながっています。
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ワンオペの問題点
ここまで、ワンオペに踏み切らなければならない理由についてみてきました。それでは。実際にワンオペを行った場合にどのような問題が起こり得るのでしょうか。
ここからは、ワンオペを行った場合の問題点について説明します。
仕事に対するモチベーションが下がりやすい
従業員がワンオペのシフトで働くと、仕事に対するモチベーションが下がりやすくなる点が問題となります。なぜなら、業務の全てを一人で行わなければならないためです。
例えば、飲食店でワンオペを行う場合、注文の受付、調理、料理の提供、会計、食器の片付けとテーブルの清掃を全て一人でこなす必要があります。もし、店内にもう一人従業員がいれば、これらの業務を分担しながら行えるため、余裕を持った状態で作業を行えます。また、作業を行ううえでわからない点があれば、質問したり確認したりすることもできます。
しかし、一人で全てを行うとなると負担に感じてしまい、仕事がつらいと感じやすくなり、モチベーションが下がってしまうことでしょう。あまりにもモチベーションが下がりすぎてしまうと退職の原因にもなりかねません。
休憩を取りにくい
ワンオペを行ううえで問題となるのは、休憩を取りにくい点です。深夜勤務の場合、夜の時間帯に一緒に働いていた従業員が帰ったあと、朝になって他の従業員が出勤してくるまではワンオペになることがあります。
法律では、6時間以上勤務する場合は最低45分の休憩を、8時間以上勤務する場合は最低1時間の休憩を与えることになっています。しかし、店舗によっては、深夜の客数が少ない時間帯に休憩を取る形にして、顧客への対応が必要な場合はその都度対応する、という形を取っている場合もあります。深夜の客数が少ない店の場合は、実質的に顧客の来ない時間帯が休憩時間となり得ます。
しかし、顧客対応のためにいつでも動けるようにしなければならないため、しっかりと休憩を取っているとは言いがたいでしょう。ワンオペのシフトは、勤務中は常に気を張らなければならないため、つらく感じられます。
防犯対策が不十分になってしまう
ワンオペ中に問題となりやすい点として、防犯対策が不十分になってしまう点があげられます。
仮に、犯罪を企てている人の視点でみた場合、深夜に二人で営業している店舗とワンオペを行っている店舗があるなら、ワンオペの店舗を狙おうと考えるのではないでしょうか。二人で営業している店舗の場合、一人が不審者への対応を行っている間に、もう一人が警察に通報することが可能であり、犯罪を企てている人の立場から見ると不利な状況となってしまいます。
一方、ワンオペの店舗では従業員が不審者に対応している間はほとんど何もできず、不審者が勢いづいて犯罪行為に及んでしまうことも十分にあり得ます。やむを得ずワンオペを行わなければならない店舗では、防犯カメラや緊急通報ボタンを設置するなどして、防犯対策を講じておくことが必要です。
ワンオペを回避する方法は?
新しい仕事をしようとして仕事を探している人の立場としては、できる限りワンオペを回避したいと考えるのではないでしょうか。
しかし、何気なく面接をして実際に働き始めてみると、ワンオペのシフトが割り当てられてしまうこともあります。そのようなことを防ぐためにも、ワンオペを回避するための方法について説明します。
実際に店舗に行って自分の目で確かめてみる
ワンオペを回避したい場合は、自分が働きたいと考えている店舗に実際に行って、ワンオペが行われているかどうかを自分の目で確かめてみましょう。
飲食店や小売店の場合、顧客として店内に入れるので、店員から不審な目で見られる心配もありません。また、単にワンオペが行われているかどうかだけではなく、ワンオペがどのような状況で行われているかについてもチェックしてみましょう。ワンオペといえば、店員が一人で忙しそうに店舗を運営しているイメージが根強いですが、中には店員が行う業務を必要最低限に絞っている店舗もあります。
例えば、飲食店なら、料理の会計は入店時に自販機で食券を購入する方式であること、料理は全て調理済みで盛り付けするだけであること、食器は顧客が自分で片付ける方式であれば、店員の負担は軽くて済みます。もし、ワンオペを行っている店舗で働きたいなら、店舗のオペレーションが効率化されている職場を選びましょう。
面接で「仕事するときは、何人で行うか」を聞いてみる
面接を受けるときは、ワンオペになるかどうかを確かめておきたいところです。しかし、面接官と初めて会って面接を受けているとき、ストレートに「ワンオペになることはありますか?」とは質問しづらいのではないでしょうか。
ワンオペかどうかを質問したい場合には「仕事を行うときは、主に何人で行いますか?」と聞いてみる方法があります。「二人以上で行います」という答えが返ってくれば問題はありませんが「時間帯によっては一人で仕事をしなければならないこともあります」という答えが返ってきた場合には、ワンオペを行う職場であることがわかります。もし、ワンオペの働き方をしたくなければ、その時点で辞退することも必要でしょう。
ワンオペのシフトを作るときに意識したいことは?
従業員が職場での業務を円滑に行えるようにするなら、ワンオペを行わず、二人以上の従業員が常にいる状態を維持したいところです。しかし、経費削減の観点から、やむを得ず従業員の数を減らしてワンオペにせざるをえない場合もあるでしょう。もし、ワンオペのシフトを作成しなければならないなら、一人で作業を行っても問題がない状況のときに限られます。
例えば、深夜などの時間帯で客数が少ない時間帯にワンオペとする方法があります。また、ワンオペのシフトを入れるのであれば、従業員の作業量をできる限り減らすなど、一人でも作業ができる仕組みを作っておく必要もあります。やむを得ずワンオペのシフトを入れなければならない場合は、従業員にとって働きやすい環境を作っておくことが原則となります。