シフト制は、自分のライフスタイルに合わせて自由な働き方ができるというイメージがあり、求職者にとっては働く条件として、いつ休みを取るのかということも大きなポイントになってきます。
ここでは、求職者やスタッフがどのような働き方を求めているか、休みをどのように取りたいかを理解するために、固定シフト、自由シフトそれぞれのメリット・デメリットを把握し、どのようにシフト作成に活かせるかを考えていきましょう。
- シフトには固定シフト・自由シフトがある
- 固定シフトのメリット・デメリット
- 自由シフトのメリット・デメリット
- シフト制の働き方では休日は週に何日?
- 従業員がシフトに求めること
- シフトを組むために見直したいポイント
- 満足度の高いシフト表を作成するために行うこと
- シフト制の有休や残業について
- まとめ
シフトには固定シフト・自由シフトがある
シフト制は多くの業種で取り入れられている働き方で、主に固定シフト・自由シフトの2種類があります。
固定シフト制は、働く曜日や時間が決まっており、事業所の営業時間や就業時間に合わせて労働時間を決定します。または、休日の曜日が固定されていると考えるとよいでしょう。
一方の自由シフトは、スタッフがそれぞれ希望する時間や曜日を事業所に申請し、シフト管理者が調整を行ったうえで作成したシフト表に合わせて働きます。ただし、自由シフトでは休日は固定されていません。それぞれの働き方にはメリット・デメリットがあります。
ここからは、固定シフト・自由シフトのメリットとデメリット、それぞれについて説明します。
固定シフトのメリット・デメリット
固定シフトのメリットは、働く時間や曜日、休みの日とパターンが決まっているので、生活のリズムが取りやすい点です。
残業がある場合を考慮すると、必ずしも1週間同じとは限りませんが、繁忙期など状況を把握できるため、家族や友人との約束などプライベートの予定を立てやすいのも特徴です。また、働く時間が決まっていることで業務内容も決まってくるため、仕事が覚えやすく特定のスキルが身につきやすくなります。そして、給与額も一定で安定していることが大きなメリットと言えるでしょう。
一方、固定シフトのデメリットは、急な休みを取りにくいことです。決められた曜日や時間に働くことが前提となっているため、自分の病気や家族の介護、突然の出来事などが発生しても、自分の代わりに働く人を探すことは困難となります。
自由シフトのメリット・デメリット
自由シフトのメリットは、働ける曜日や時間の希望を申請できるため、自分のスケジュールに合わせて休みを取りやすい点があげられます。
自由シフトなら、旅行やテスト期間などに合わせて、まとめて休みを取ることも可能です。有給休暇を付与されている場合は、それを活用することもできます。まとまった休みを取った分は、稼げる時期に集中してシフトを入れるなど、柔軟な働き方ができるのが特徴です。
また、自由シフト制なら休日に仕事をして、平日に休みを取ることができるので、市役所や銀行、病院などの用事を済ませたり、人混みを避けながら観光やレジャーを楽しんだりしながら休日を過ごせます。
一方、自由シフトのデメリットは、シフトが決まらないと先の予定が立てにくいことです。そのほか、働きたい日や休みたい日を申請することはできても、必ずしも希望が通るとは限らない点もデメリットとなります。
また、出勤する曜日や時間が固定されていないため、生活のリズムが取りにくくなることもあります。次の日の出勤までの間隔が短かったり、休む日数が週によって違ったりすることがあるため、不規則な生活になりやすく、体調管理が難しくなります。
さらに、接客業などでは土日祝日のほか、連休などの繁忙期などに休みを取りにくくなることがあります。家族や友人と過ごす予定が立てにくかったり、子どもの行事に参加できなかったりすることもあるでしょう。
土日や祝日、繁忙期に休みを取りにくくなることは、ほかのスタッフも同じであるため、スタッフ同士でバランスよく休みを取るなど、気遣いも必要になってきます。
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シフト制の働き方では休日は週に何日?
初めてシフト制の職場で働く場合「休日は何日もらえるだろうか」という点が気になるのではないでしょうか。ここでは、シフト制で働く場合の休日日数についてみていきます。
企業が休日の日数を決める場合には、労働基準法に基づくことが一般的です。そこで、労働基準法で定められている休日の日数について説明します。
労働基準法で定められている休日の日数
労働基準法では、休日の日数について下記のように定めています。
- 使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも一回の休日を与えなければならない。
- (引用:労働基準法)
つまり、労働基準法によると、1週間あたり1日の休日があれば問題がないことになります。
次に、労働基準法が定めている労働時間についてみていきます。
- 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
- 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
- (引用:労働基準法)
先述した通り、労働基準法では1週間あたり1日の休みを与えることを定めています。しかし、労働時間が1日8時間の場合は、5日間働くと1週間の労働時間が40時間となってしまうため、1週間あたりの休日は1日ではなく、2日与える必要があります。
そのため、法律に基づくと、1週間あたりの休日の日数は1日あたりの労働時間によって異なります。たとえば、1日あたりの労働時間が6時間の場合は、6日働くと週36時間の労働となり、週40時間を超えないため、法律上では1週間あたりの休日は1日でも差しつかえありません。
就業規則で定める休日の日数
法律で定められている休日の日数は原則として週1日以上であり、労働時間が1日8時間の場合は必然的に週2日となります。
なお、労働基準法の内容を守っていれば、企業が休日の日数を独自に決めて就業日数に定めることができます。たとえば、法律で定められている休日の日数よりも多くしても問題はありません。
就業規則に記載する休日の内容について、一例をあげます。
- 1週間あたりの休日は2日とする
- ただし、パートタイマーの休日日数は個別の契約で定めるものとする
正社員は原則として1日8時間労働であるため、休日の日数は週に2日となります。しかし、パートタイマーの場合は、それぞれ勤務時間や休日の日数が異なるため、就業規則では「個別の契約で定めるものとする」という内容にとどめることが一般的です。
実際には、パートタイマーの休日日数は週2回以上としているケースが多く、中には休日日数が週3日、あるいは週4日とするパートタイマーもいます。
従業員がシフトに求めること
先述した通り、シフトには固定シフトと自由シフトの2種類があります。
固定シフトはあらかじめ決められていますが、自由シフトの場合、シフト管理者はその日の作業量に応じてシフトを決めていきます。シフトを作成する場合、スタッフの希望はできる限り取り入れますが、忙しくなると予想される日は多くのスタッフが必要となるほか、特定の日に休日希望者が集中する日は、休日希望に添えないこともあります。
そのため、誰もが満足できるシフトを作成するのは至難の業といえます。それでも、シフトの内容にできるだけ納得してもらうには、スタッフが何を求めているかを把握しておくことが大切です。
希望した日に休みがほしい
シフト表は、職場にもよりますが2週間~1か月ごとにスケジュールを組むのが一般的です。シフト表で従業員がチェックするのは、主に「休日はいつか」ということであるため、休みの希望をできるだけ考慮します。
やむを得ず、休日の希望に添うことができない場合は、第2希望を聞いて取り入れたり、次回の希望は優先的に取り入れたりすることで対応しましょう。希望を提出しているのに、まるで受け入れられないということになると、仕事のモチベーションにも影響してしまいます。
シフト表の早期提示
スタッフは予定を早く知りたい傾向にあるため、早めにシフト表を作成し周知することが望ましいでしょう。希望提出日と公開日を徹底することで、スタッフも次の予定が立てやすくなります。
シフト制の職場では、希望提出日が出勤日でないこともあります。提出が遅れるとシフト表の作成にも影響する可能性が高くなるので、希望の提出をメールやSNSに統一する、アプリケーションを使うなど対策を取りながら期限を厳守してもらいましょう。
公平性
スタッフの勤務時間や日数、休みなどに偏りがあるシフトを作成してしまうと、スタッフとしては不公平さを感じやすくなります。シフトを作成する場合は、特定のスタッフの希望が優先されていないかを十分に確認する必要があります。
スタッフは、自分の希望する曜日や時間帯を全て採用してもらえない点は理解していることが多いです。しかし、毎月のように早朝や深夜のシフトばかり続いたり、土日などの休みがほとんどもらえなかったりすると、シフトの内容が不公平だと感じてしまい、離職につながる可能性があります。
優秀な人材や真面目に取り組む人材を失うと、業務の生産性が低下してしまいます。しかも、他のスタッフの負担が大きくなり、モチベーションの低下にもつながるため、事業において損失が発生するなど、企業にとってもマイナスとなります。
シフトを組むために見直したいポイント
シフト管理者も、適切なシフトを作成するために日々頭を悩ませながら努力をしていますが、希望に添ったシフトを組むのは容易なことではありません。
そもそも、シフト作成とは業績や利益を得るための人事戦略であり、それぞれの日の作業内容や忙しさを考えたうえで必要な人数のスタッフを割り当てていくものです。
スタッフの希望を優先しすぎると、人手が少ない日が発生する反面、さほど忙しくない日に多くのスタッフが出勤することもあるため、業務の効率が低下してしまいます。そのため、スタッフの希望を聞くだけでシフト表は作成できません。
そこで、改めてシフト表を作成するためのポイントを考えていきましょう。以下のようなことが考えられます。
- ・スタッフの作業がスムーズに行える
- ・従業員の作業スキルを考慮する
- ・リーダー、サブリーダーのどちらかが対応できるように配置する
- ・店舗であれば開店・閉店時に解錠や施錠などができる担当者を配置する
- ・土日休みなどを平等に割り当てる
- ・月間の人時
- ・人件費などの予算を考える
- ・欠員が出たときの変更やフォローを想定する
- ・労働基準法を遵守する
ほかにもベテランと新人が一緒に作業できるように配置したり、売上目標などを明確にしたり、多角的な視点から捉えていき、人材の配置を絞り込んでいきます。
満足度の高いシフト表を作成するために行うこと
シフトを作成するためには、さまざまな面を考慮する必要があることが理解できたのではないでしょうか。
満足度の高いシフトを作成するためには、シフトの作成に関するルールをあらかじめ決めておいたり、日頃からスタッフとコミュニケーションを取ったりしながら、信頼関係を築いておくことが重要なポイントとなります。
これらの内容について、くわしく説明します。
「希望休み」に関するルールを決める
シフト希望でスタッフが考慮するのは「都合のよい時間に働けること」「いつ休みを取るか」という点が多いと考えられます。
勤務時間はそれぞれの事情を考慮する必要がありますが、休日に関して「月に1回は土日祝日などの公休を当てる」「5日連続で勤務した後は休みにする」などのルールを設けておきます。
それにより、シフトを平等に割り当てられるため、スタッフのモチベーションアップにつながります。人数が多いほどシフトは複雑になりがちですが、一定の基準を設けることでシフトが組みやすくなります。
シフト希望でスタッフが考慮するのは、都合のよい時間に働けることと、いつ休みを取るかということが多いと考えられます。
勤務時間はそれぞれの事情を考慮する必要がありますが、休日に関して「月に1回は土日祝日などの公休を当てる」「5日連続で勤務した後は休みにする」などのルールを設けておくと、平等に割り当てることができるためスタッフのモチベーションアップにつながります。
コミュニケーションをこまめに行う
管理者として、誰に対してもオープンなコミュニケーションを取るよう心がけましょう。新人スタッフなど、会社での業務に慣れてない場合は、なかなか希望が言えず、シフトについて相談しにくいと感じている可能性があります。
勤務年数や日数に関わらず、しっかりとフォローを行いながらスタッフとの信頼関係を構築していくことが大切です。コミュニケーションを取ることで相手の事情や希望なども把握できるため、シフト管理に活かすことができます。また、シフト制の職場はチームワークも重要であることが多く、お互いを尊重する職場作りにもつながります。
変更の少ないシフト作成を
シフト表の公開を待たされるとスタッフは予定が立てられないため、シフト作成はできるだけ早めに行うことも大切です。
しかし、早めにシフトができあがると、スタッフが研修会に参加するなどの予定が入ることがあり、シフトを変更しなければならない場合があります。そのほかにも、早めにシフトを仕上げようとして急いで作成してしまうと、シフトができあがった後に作成ミスを見つけることがあり、シフトの変更を余儀なくされることもあるでしょう。
シフトの作成ミスが原因でシフトを変更することはできるだけ避けなければなりませんが、シフトができあがった後に、スタッフに何らかの予定が入った場合はシフトの変更が必要となる場合もあります。
シフトの変更はある程度想定されるものです。シフトが変更になった場合に他のスタッフに出勤日を代わってもらえるようにするためにも、日頃からスタッフとコミュニケーションをこまめに取るようにしましょう。
シフト制の有休や残業について
シフト制の職場で働いているスタッフとしては「有給休暇を取得したい」と考えるのではないでしょうか。有給休暇が付与される条件は、雇い入れの日から6か月の間、実際に出勤した日数が本来の出勤日数の8割以上であることです。
たとえば、本来の出勤日数が6か月で120日の場合、実際に出勤した日数が110日であれば、本来の出勤日数の8割以上となるため、雇い入れから6か月を過ぎると有給休暇が付与されます。
有給休暇が付与される日数は、継続して勤続した年数の長さや1週間あたりの労働日数の多さによって異なります。
一例をあげると、週5日出勤している場合は、有給休暇が付与される日数は勤続の期間が6か月なら10日間、6年6か月以上なら20日となります。
有給休暇は、シフト制であっても出勤日に当てる必要があるため、一般的にはシフト希望を提出するときに、有給休暇を取得したい日をあわせて申請します。そうすることで、その日を有給休暇扱いにしてもらうことができます。
シフト制も時間外労働で割増賃金が適用される
シフト制の場合でも、時間外労働や休日出勤、深夜手当は割増賃金が適用されます。労働基準法によると、労働者の労働時間は1日8時間以内、1週間40時間となっています。これを超える時間外労働は、4時間までなら時給の25%、深夜手当も25%、休日手当は35%です。
残業については、2023年3月までは月60時間を超える場合の割増賃金率は大企業で50%、中小企業で25%ですが、2023年4月からは大企業も中小企業も等しく50%になります。
シフト制では、営業時間が長いことなどもあり深夜手当、スタッフの不足などにより時間外労働が発生することもあります。政府は労働者の心身の健康やワークライフバランスを重視しているため、シフト管理者の元に労働基準法の改正に関する通知が届いたら、法改正の内容に対応できるようにしましょう。
まとめ
シフト制は、多くの業種で取り入れられていますが、シフト表作りはとても難しく、担当者にとっては大きなストレスにもなっています。しかし、スタッフ同士で協力し合い、よい職場環境を構築していくことはサービスや生産性の向上、業績や利益に大きく関わってくる重要な要素です。シフト制のメリット・デメリットを理解して適切に活用していきましょう。
JRシステムが提供する「勤務シフト作成お助けマン」は、各従業員の「希望休み」の考慮や、シフト表を作成するためのポイントを意識した公平なシフトを自動作成することができます。
「勤務シフト作成お助けマン」には、早番・遅番・夜勤等の「1日1記号を割り当てるシフト表」を作成することが出来る「勤務シフト作成お助けマンDay」と、 10:00~17:30等の「時問を割り当てるシフト表」を作成する「勤務シフト作成お助けマンTime」があります。作成したいシフト表に合わせてサービスを選んでいただくことが可能です。
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