勤務時間のシフト作成は、店をスムーズに運営する観点はもちろん、従業員の希望に沿ってなるべく公平に組む必要があります。
この記事ではシフト作成に慣れていない、または苦手意識がある方のために、シフト表の作り方のコツをまとめました。エクセルで作成するメリット・デメリットとおすすめのシフト作成ツールもご紹介します。
基本的なシフト作成の流れ
普段シフトを作成している方はすでに把握している内容ですが、これから取り組む方にも向けて、シフトの作り方の基礎情報を紹介します。手順が分かりやすいように具体的なポイントやコツを見出しに取り上げています。
1. 日付や曜日ごとに必要な人数を決める
事業内容や店舗の運営状況によって、どのようなシフトにすべきかが異なります。特に飲食店や小売店などのサービス業は、来店するお客様の人数（来店数）によって売り上げが変動するため、1日の営業時間内で来客数が多い時間帯を把握する必要があります。また、土日祝日は来客数が増えたり、セールやイベントの期間中は店内が混み合ったりするのが一般的です。販売している商品によっては季節の影響を受ける場合もあります。
シフト作成は売り上げの流れから、必要な人数を決めるのが基本です。お客様の来店が少なく暇な日は人数を減らし、忙しい日は増やします。適切な人数を配置できないと、人件費のムダが生じたり、スタッフの負担が大きくなったりします。バランスの取れた配置のためには過去の売り上げの動向を把握してください。時間や曜日、週、月単位など1年を通じた売り上げの変動を把握できれば、状況に応じた最適なスタッフの人数を割り出すことができます。
2. シフトの希望を取る
時間や曜日、週、月ごとのスタッフの配置人数がだいたい決まったら、各スタッフから期間内の出勤日や休日の希望を出してもらいます。勤務日が固定している常勤スタッフまたは正社員であれば、シフトの希望は必要ありません。一方、勤務時間が限られるパートスタッフや勤務可能日が不規則な学生アルバイトの場合は、シフトの希望を早めに提出してもらうことが望ましいです。特に学生アルバイトは長期休暇のため普段とは違う予定になったり、試験期間中は勤務できなかったりすることがあります。
決まっている予定があれば、早めに休日の希望を申告してもらうと、スムーズにシフトを作成できます。毎回のシフト作成に協力してもらいやすくするには、シフト希望の提出日を固定化することです。提出日がスタッフ全員に浸透すれば、シフトの希望も集まりやすくなります。可能なら休みたい、または必ず休みたいなど、スタッフの希望を最大限聞くのがベストです。シフトに全員の希望を反映させるのは難しいですが、できるだけ反映させると満足度が上がるでしょう。
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3. 必要人数と希望を踏まえてシフトを作る
必要なスタッフの人数と勤務日や休日の希望をもとに、日にちや曜日でスタッフを割り振り、ざっくりとシフトを組みます。全体のシフトの割り振りが終わったら、スタッフの人数や能力に著しい偏りがないかをチェックしてください。スタッフの能力はベテラン、中堅、新人に分類し、それを目安にして配置すると分かりやすいです。
1日の営業時間内で忙しい時間帯や、土日祝日など来店客が見込める曜日は、ベテランスタッフを増員して対応するのが望ましいでしょう。スタッフの休日の希望が重複し、人数が不足する時間帯や曜日があるときは、どのくらい不足しているのかを確認後、予定を調整できないかスタッフに尋ねてください。
それでも人数が足りない場合、同じ系列の他店があれば協力を依頼できるかもしれません。他店もシフトを作成して運営しているため、なるべく早く伝えるとスタッフの確保をしやすくなります。他店から応援を頼む場合は店舗ルールを徹底させておく必要があります。
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良いシフトを作るために押さえるべき6つのコツ・注意点
店とスタッフの双方にとって良いシフトを作るにはポイントがあります。押さえておきたいコツや注意点を6つ紹介します。
1. なるべく公平にシフトを組む
シフトはなるべく公平に組むことが大切です。公平感がないとスタッフの満足度が下がり、仕事のパフォーマンス低下につながりかねません。パートやアルバイトなどスタッフによって労働条件やスキルが異なり、個別の事情で希望する働き方が違います。
勤務日や休日の希望が通ることは働きやすさに直結します。特定の人だけ土日出勤が続いたり、いつも希望が通らず調整を依頼されたりすると、離職することも考えられます。
自分の要望を伝えるのが苦手という人もいるため、シフトの希望を聞くときは配慮が必要です。完全に公平・平等なシフトを組むことは難しいですが、一部のスタッフの希望だけが優先されたり、逆に負担が偏ったりすることがないように、ルールを統一化し、公平なシフト作成を心がけてください。
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2. 可能な範囲でシフトに少し余裕を持たせる
必要な最低人数だけでシフトを作成していると、経費の削減はできますが、業務や運営に支障が及ぶリスクがあります。スタッフが急に休んだり、早退したりした場合に対応できません。予想外に来店数が増えたり、業務のトラブルに見舞われたりすると、スタッフへの負担が大きくなり、休憩時間が十分に取れないこともあり得ます。
人員不足の課題を抱えた業界では、シフトに余裕を持たせることは簡単ではありませんが、可能な限りシフトに多少ゆとりを持たせましょう。
3. 過剰な連勤などが発生しないよう管理する
基本的な点として、労働基準法などに抵触しないようにします。就業規則などのルールにしたがい、コンプライアンスを遵守することも重要です。スタッフ本人の了解を得たとしても、決められた休日は取得させなければなりません。労働基準法では少なくとも週1回の休日を設けるよう求められており、連続勤務は最大12日間までですが、過剰な連勤が発生しないように管理することです。
それぞれのスタッフの勤務状況を把握していないと、連続勤務を見落とすケースもあるので注意が必要です。特にシフト作成を月単位の手作業で行っていると、前月との兼ね合いを忘れ、月をまたいで長期の連勤ができあがってしまうことがあります。シフトを作るときは必ず各スタッフの前月のシフトを確認するようにしましょう。
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4. シフト希望の提出期日を周知しておく
スタッフからシフトの希望を取る場合は、対象者全員に協力してもらわないとシフトの作成ができません。シフト制を採用している企業では、シフトに関する統一したルールを設定しています。シフト希望の提出についても期限を決めておけば、協力を得やすくなります。提出期日を社内に周知し、期日前には提出を促しましょう。
シフト作成には考慮しなければならない要素が多いため、時間と手間がかかるのが一般的です。提出期限は月末ぎりぎりではなく余裕をもった日時を設定しておくと、シフト作成者の作業負担を減らせるのでおすすめです。
5. シフトが見やすくなるような工夫をする
スタッフ各自が見やすいレイアウトのシフト表にすることも重要です。文字にメリハリがなく、色分けがされていないと、見間違いなどのミスが起きやすくなります。一目で分かりづらいと、その都度確認したり、探したりするのに無駄な手間が増えます。
文字はなるべく大きめにし、大小で変化をつけたり、色分けしたりしましょう。使用する色は、メインカラーとアクセントカラー合わせて3～4色までにとどめるとシフト表は見やすくなります。役割やスキルごとに各スタッフをグループ化しておくと、スタッフ自身も見つけやすくなるので便利です。
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6. 人員数は売り上げを意識して決める
スタッフの人員数は人件費を有効に活用するために、時期や売り上げに応じて決定します。業務の繁忙期に人員が不足していると、売り上げの機会損失になりかねず、閑散期に人員に余剰があると、人件費の予算を超過するかもしれません。
最適な人件費で運営するためには、業務の繁忙期・閑散期を予測することが重要です。その時期に必要な人員数を割り出し、スタッフの適正人数を計算します。前述した「基本的なシフト作成の流れ」の「1．日付や曜日ごとに必要な人数を決める」に通じる点です。
シフト作成は何で行うのが良い? エクセルを使った場合のメリット・デメリット
エクセルでシフトを作成すると、見やすく簡単に仕上がるのがメリットです。シフト表用の無料テンプレートも用意されています。対象人数が10名くらいまでなら、エクセルでも管理可能です。
一方、エクセルのマクロや関数を使う場合、自動で計算されるようになるなど便利になりますが、特定の人しか使いこなせなくなるおそれがあります。設定にズレが生じても見つけにくく、ヒューマンエラーが多くなりがちです。
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社内の誰もが使いやすく、間違いにくくするには、ツールの活用がおすすめです。専用ツールならスタッフの希望を反映しながら、法令順守したシフトが簡単に作れてシフト作成業務を省力化できます。
まとめ
以上のようにシフト作成には、
- １．日付や曜日ごとに必要な人数を決める
２．スタッフの希望を集める
３．必要人員とスタッフの希望を踏まえて作成する
という基本的な流れがあります。これらを踏まえずに作成されたシフトは、現場での労働力不足や、スタッフの不満を生みかねません。基本をしっかりと抑えたシフト作成をすることが重要です。
作成のコツとして、公平なシフト、法令の遵守、売り上げから計算された適正人員の把握、少し余裕のある人員、を意識します。また、実際の作成の際は、スタッフにシフト希望の提出期限を周知することで、スムーズに作成しやすくなります。作成の際にはレイアウトの見やすさにも考慮しましょう。
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