シフト勤務をする場合、給与は時給で計算されるケースが多いですが、場合によっては日給や月給で計算されることもあります。
給与が時給で支払われている場合、最低賃金以上の賃金になっているかどうかの確認や、時間外手当の計算は簡単に行えます。
しかし、給与が日給や月給で支払われている場合、最低賃金以上かどうかを確認したり、時間外手当の額を調べたりするには、順を追って計算する必要があります。
この記事では、シフト勤務の給与の種類について説明したうえで、日給や月給で賃金が支払われている場合に、最低賃金以上かどうかの確認方法と、時間外手当の計算方法について説明します。
給与が時給で支払われている場合、最低賃金以上の賃金になっているかどうかの確認や、時間外手当の計算は簡単に行えます。
しかし、給与が日給や月給で支払われている場合、最低賃金以上かどうかを確認したり、時間外手当の額を調べたりするには、順を追って計算する必要があります。
この記事では、シフト勤務の給与の種類について説明したうえで、日給や月給で賃金が支払われている場合に、最低賃金以上かどうかの確認方法と、時間外手当の計算方法について説明します。
また、給与計算まで考慮した場合のシフト作成のポイントについても説明します。
給与の種類
給与の種類を大きく分けると「時間給」「日給」「月給」となります。それぞれの給与の種類について説明します。
時間給
「時間給」(時給)とは、1時間単位で計算する給与体系のことです。
「時間給」は1時間あたりの給料に労働時間をかけて計算します。
「時間給」はシフト制の働き方に適した給与体系といえます。なぜなら、シフト制の働き方では、出勤日によって勤務時間が変わる場合があるためです。
シフト制の働き方の一例として、通常は1日4時間勤務で、忙しい日は1日6時間勤務になる場合があります。
「時間給」は給与の計算を1時間単位で行うため、シフト制のように1日あたりの勤務時間が異なっている働き方に適した給与といえます。
「時間給」では、下記のように給与が計算されます。
(例)労働時間50時間 × 時給1,000円 = 給与50,000円
日給
「日給」とは、1日単位で計算する給与体系のことです。
「日給」は1日あたりの給料に労働時間をかけて計算します。
シフト制の働き方で1日の労働時間が原則として同じである場合は、「日給制」となる場合があります。
「日給制」では、下記のように給与が計算されます。
(例)労働日数15日 × 日給8,000円 = 給与12万円
月給
「月給」とは、1ヶ月単位で計算する給与体系のことです。
「月給」は欠勤などをした場合の対応によって種類が細かく分類されています。
「月給」の種類としては下記があげられます。
・完全月給制・日給月給制
・月給日給制
■完全月給制
「完全月給制」は、毎月の給料は常に同じ額となります。
後述する「日給月給制」や「月給日給制」とは異なり、欠勤・遅刻・早退をしても、その分が給料から差し引かれることがありません。
「完全月給制」は、主に管理職向けの給与体系となっています。
■日給月給制
「日給月給制」は、原則として毎月の給料は同じですが、欠勤・遅刻・早退をした場合は「欠勤控除」として給与から差し引かれます。
欠勤や遅刻、早退の日数が多い場合、固定給から控除されるだけでなく、職務手当などの各種手当からも控除される場合もあります。
なお、公休日に休んだ分は給与から控除されません。
給与から控除される場合の例をあげると、下記の通りとなります。
(例)1ヶ月の給料20万円 欠勤2回
※欠勤1回で5,000円が控除される場合 → 20万円-5,000円×欠勤2回=19万円
■月給日給制
「月給日給制」も、「日給月給制」と同様に欠勤や遅刻、早退をした場合は給与から控除されます。
「日給月給制」と異なる点は、給与から控除されるのは固定給のみであることです、職務手当などの各種手当からは控除されません。そのため、欠勤の回数が多く固定給が全て控除されたとしても、職務手当などは残ります。
給与が最低賃金額以上であるかを確認する方法は?
仕事をする人は誰でも、最低賃金額以上の給与を受け取る権利があります。
厚生労働省が公表している最低賃金の額は1時間あたりの額です。全国の最低賃金の一覧は、こちら(令和3年度版)から参照してください。
「時給」で働いている場合は給与が最低賃金以上かどうかを確認しやすい一方で、「日給」や「月給」で働いている場合は、給与が最低賃金以上かどうかがわかりづらくなります。
ここでは、給与が最低賃金以上であるかどうかを調べる方法を、「時給」「日給」「月給」のそれぞれについて説明します。
時給
「時給」制の場合、給与が最低賃金以上かどうかを確認するには、「時給」が最低賃金以上であることを確認するだけで済みます。
「時給」と最低賃金が同額である場合も問題ありません。
例えば、ある県の最低賃金が1,000円である場合、時給が1,000円であれば法律に基づいて給与が支払われていることになります。
日給
「日給」制の場合、給与が最低賃金以上であるかを確認するには下記の方法で計算します。
日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
[出典]厚生労働省「最低賃金以上かどうかを確認する方法」
例えば、最低賃金が1,000円、日給が7,200円、1日の所定労働時間が6時間としましょう。
この場合、1時間あたりの賃金は以下の通りとなるため、日給は最低賃金以上であることがわかります。
7,200円 ÷ 6 = 1,200円
月給
「月給」制の場合、給与が最低賃金以上であることを確認するには下記の方法で計算します。
月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)
[出典]厚生労働省「最低賃金以上かどうかを確認する方法」
1ヶ月平均所定労働時間は下記のように計算します。
1日の所定労働時間 ×(365日-年間の休日日数)÷ 12ヶ月
(注)うるう年は366日で計算
つまり、1日の所定労働時間に1年間の出勤日数をかけて、それを12ヶ月で割ると1ヶ月の平均所定労働時間が求められます。
月給が最低賃金以上であるかどうかを確認するにあたり、以下の例で計算してみましょう。
※計算条件
・月給13万円
・1日の所定労働時間:6時間
・年間休日日数 :115日
・最低賃金 :1,000円
上記の条件の場合、1ヶ月平均所定労働時間は下記のように求められます。
6時間 ×(365日-115日)÷ 12ヶ月 = 125時間
次に、月給を時給に換算して最低賃金以上であるかどうかを調べます。計算方法は下記の通りです。
13万円 ÷ 125時間 = 1,040円
つまり、月給を時給に換算した額は1,040円となり、最低賃金の1,000円以上となるため、問題がないことがわかります。
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時間外手当の計算方法は?
シフト制で働く場合、仕事の内容によっては深夜、または早朝に働く場合があったり、あるいは長時間働いて残業手当の対象になったりする場合があります。
ここでは、時間外手当の計算方法について説明します。
時間外手当の種類
時間外手当の種類は、下記の3つがあります。それぞれについて説明します。
・残業手当
・休日残業手当
・深夜手当
■残業手当
「残業手当」とは「法定労働時間」を超えて働いた場合に支払う手当のことです。
「法定労働時間」を超えた分に関しては、通常の1.25倍の賃金が支払われます。
「法定労働時間」とは労働基準法で定められた労働時間のことで、1日あたり8時間まで、1週間あたり40時間までと定められています。
つまり「残業手当」は1日あたり8時間を超えて働いた場合、または1週間あたり40時間を超えて働いた場合に適用されます。
なお、シフト制の勤務で1日の所定労働時間が6時間の場合、2時間残業して1日8時間働いたときは、残業手当という形では支払われず、単に2時間分の賃金が加算されます。
上記の例で時給1,000円の場合、1日分の賃金は下記の通りに計算できます。
時給1,000円 ×(所定労働時間6時間+残業2時間)= 1,000円 × 8時間 = 8,000円
■休日残業手当
「休日残業手当」とは「法定休日」に出勤した場合に支払う手当のことです。
「法定休日」とは労働基準法で定められた休日のことで、週に1日の休日、もしくは4週間の間に4日の休日を取得することが義務づけられています。
例えば、1週間で1日も休みが取れなかった場合、または4週間の間に休んだ日が3日以下の場合は、法定休日も仕事をしていることになります。
法定休日に出勤をした場合は、通常の賃金の1.35倍が支払われます。
例えば、時給が1,000円、法定休日の勤務時間が6時間の場合、賃金は下記のように計算されます。
1,000円 × 1.35 × 6時間 = 8,100円
■深夜手当
「深夜手当」とは、22時から翌朝5時までの間に働いた場合に支払う手当のことで、通常の賃金の1.25倍が支払われます。
例えば、時給が1,000円で20時から0時までの4時間働く場合、支払われる賃金は下記の通りとなります。
①20時から22時まで:1,000円 × 2時間 = 2,000円
②22時から0時まで:1,000円 × 1.25 × 2時間 = 2,500円
①②合計:2,000円 + 2,500円 = 4,500円
計算方法の例
次に、様々なケースでの計算方法について説明します。
■「深夜手当」は残業手当、法定休日手当と合算される
「深夜手当」の特徴は、残業手当または法定休日手当と合算されることです。
「深夜手当」と残業手当または法定休日手当が合算される例について下記に示します。
(1)深夜手当と残業手当が合算されるケース
例えば、時給が1,000円、13時から23時まで働く場合、支払われる賃金は下記の通りとなります。
なお、勤務時間が8時間以上の場合は1時間の休憩を取るため、13時から23時まで働く場合、勤務時間は9時間となります。
①13時から22時までの8時間
→ 1,000円 × 8時間 = 8,000円
②22時から23時まで:残業手当として25%、深夜手当として25%を加算
→ 1,000円 ×(1+0.25+0.25)× 1時間 = 1,500円
①②合計:8,000円 + 1,500円 = 9,500円
(2)深夜手当と法定休日手当が合算されるケース
例えば、法定休日に13時から23時まで働く場合、支払われる賃金は下記の通りとなります。
①13時から22時までの8時間
→ 1,000円 × 1.35 × 8時間 = 10,800円
②22時から23時まで:法定休日手当として35%、深夜手当として25%を加算
→ 1,000 ×(1+0.35+0.25)× 1時間 = 1,600円
①②合計:10,800円 + 1,600円 = 12,400円
■時間外手当を計算する方法:時給制の場合
「時給」制で時間外手当を計算する場合の例として、条件を下記の通りとします。
※計算条件
・時給:1,000円
・所定労働時間:6時間
・勤務時間:9時から19時まで
この場合、支払われる賃金は下記の通りとなります。
①9時から18時までの8時間(休憩時間1時間を含む)
→ 1,000円 × 8時間 = 8,000円
②18時から19時まで
→ 1,000円 × 1.25 × 1時間 = 1,250円
①②合計:8,000円 + 1,250円 = 9,250円
■時間外手当を計算する方法:日給制の場合
「日給」制で時間外手当を計算するためには、はじめに日給と所定労働時間から1時間あたりの賃金を計算します。1時間あたりの賃金の額がわかれば、時間外手当を計算できます。
日給の額と時間外手当を合計すれば、時間外手当込みの賃金を算出できます。
例として、条件を下記の通りとします。なお、ここでは1週間分の賃金を計算します。
※計算条件
・日給7,200円
・1日の所定労働時間:6時間
・1週間の勤務日数 :5日
・所定労働時間を超えて労働した時間:8時間(※法定外の労働時間を除く)
・法定外の労働時間:3時間(※深夜労働の時間を除く)
・深夜労働の時間 :1時間(※深夜労働は法定外の労働時間とする)
この場合、支払われる賃金を計算するには、下記のように計算できます。
・時給:日給7,200円 ÷ 所定労働時間6時間 = 1,200円
・所定労働時間を超えた分の賃金(8時間分):1,200円 × 8時間 = 9,600円
・法定外労働の賃金(3時間分) :1,200円 × 1.25 × 3時間 = 4,500円
・深夜労働+法定外労働の賃金(1時間分) :1,200円 × 1.5 × 1時間 = 1,800円
1週間分の賃金は下記の通りとなります。
→ 7,200円 × 5日 + 9,600円 + 4,500円 + 1,800円 = 51,900円
■時間外手当を計算する方法:月給制の場合
「月給」制で時間外手当を計算するためには、はじめに月給と所定労働時間から1時間あたりの賃金を計算します。
1ヶ月の法定労働時間は173時間です。これは、1週間の法定労働時間が40時間であることを用いれば計算できます。(下記②)
1時間あたりの賃金の額(下記④)がわかれば、時間外手当(下記⑥)を計算できます。月給の額と時間外手当を合計すれば、時間外手当込みの月給(下記⑦)を算出できます。
月給から時間外手当を計算する例として、条件を下記の通りとします。なお、ここでは1ヶ月の賃金を計算します。
※計算条件・式
①月給18万円
②1ヶ月の法定労働時間 :40時間 × 52週 ÷ 12ヶ月 = 173時間
③1ヶ月の労働時間(例):188時間
④時給(①÷②):18万円 ÷ 173時間 = 1,040円
⑤残業時間(③-②):188時間 - 173時間 = 15時間
⑥残業手当(④×1.25×⑤):1040円 × 1.25 × 15時間 = 1万9500円
「月給」制の場合は、月給に残業手当を合算した額を受け取れます。
この例での残業手当込みの月給は、以下のようになります。
⑦合計(①+⑥):18万円 + 1万9500円 = 19万9500円
シフトはなるべくわかりやすいパターンとする
給与や時間外手当の種類は複数ありますが、さまざまな種類があることによって給与の計算ミスが起こりえます。
ミスをできる限り防ぐために、シフトを作成するときはなるべくわかりやすいパターンにしておくと効果的です。
シフトがわかりやすいパターンになっていれば、従業員も出勤時間を間違えずに済みます。
ミスをできる限り防ぐために、シフトを作成するときはなるべくわかりやすいパターンにしておくと効果的です。
シフトがわかりやすいパターンになっていれば、従業員も出勤時間を間違えずに済みます。
時間外手当ができる限り発生しないシフトを作る
「時間外手当」は8時間を超えると発生するため、早番と遅番が8時間ずつ勤務すれば、原則として労働時間が8時間を超えることはありません。
このように「時間外手当」が発生しないシフトを作れば、給与の計算を間違える可能性が低くなります。
やむを得ず残業が発生した場合は、残業時間に基づいて時間外手当を支払います。
このように「時間外手当」が発生しないシフトを作れば、給与の計算を間違える可能性が低くなります。
やむを得ず残業が発生した場合は、残業時間に基づいて時間外手当を支払います。
深夜勤務はわかりやすいシフトにする
深夜のシフトを作成する場合もできる限りわかりやすいシフトにしておきます。
例として、24時間勤務で3交替制のシフトを下記に示します。
・早番:8時~17時
・遅番:15時~24時
・夜勤:23時30分~翌朝8時30分
この場合、遅番は「深夜手当」が2時間分、夜勤は途中で1時間の休憩をはさむため、「深夜手当」は4.5時間分となります。
このようにシフトを固定化しておくと、深夜手当の計算ミスを防ぎやすくなります。
・早番:8時~17時
・遅番:15時~24時
・夜勤:23時30分~翌朝8時30分
この場合、遅番は「深夜手当」が2時間分、夜勤は途中で1時間の休憩をはさむため、「深夜手当」は4.5時間分となります。
このようにシフトを固定化しておくと、深夜手当の計算ミスを防ぎやすくなります。
まとめ
シフト勤務の場合、給与は「時給」で計算されることが多いですが、場合によっては「日給」や「月給」で計算されることもあります。
「日給」や「月給」で給与が支払われている場合、それぞれを「時給」に換算すれば、最低賃金以上の賃金が支払われているかがわかります。
また、時間外手当には「残業手当」「休日残業手当」「深夜手当」があり、それぞれの手当は通常の賃金より割り増しとなります。
これらの手当も、「時給」の場合は計算が簡単に行えますが、「日給」や「月給」で支払われている場合は、「時給」に換算すれば時間外手当の額が計算できます。
給与は労働の対価であるため、確実に支払われているかどうかを確認したいこともあるでしょう。
そのような場合は、この記事で説明した計算方法に基づいて、給与が確実に支払われているかどうかを確認してみましょう。
さて、こうした年収の上限を如何に超えないようにするためには、「月々何時間くらい働けばいいのだろう」「あと何時間くらい働いたら上限を超えてしまうのだろう」ということを知ることです。しかし、こうしたことを気にしながらシフトを組むのはなかなか骨の折れる作業です。一人一人の従業員の時給や勤務条件も違うため、管理はとても煩雑になります。
そのような場合は、シフト管理システムの導入を検討してみましょう。シフト管理システムなら一人一人の労働時間の上限などを設定した上でシフト表の作成が可能となるため、シフト作成者の負担がかなり軽減されることでしょう。
JRシステムが提供する「勤務シフト作成お助けマン」は、総労働時間やお休みの回数などを設定しつつシフトを自動作成することができます。
「勤務シフト作成お助けマン」には、早番・遅番・夜勤等の「1日1記号を割り当てるシフト表」を作成することが出来る「勤務シフト作成お助けマンDay」と、 10:00~17:30等の「時問を割り当てるシフト表」を作成する「勤務シフト作成お助けマンTime」があります。作成したいシフト表に合わせてサービスを選んでいただくことが可能です。
「お助けマン」では、本番利用時と同じ機能を2か月無料でトライアルできますので、システム化によって満足するシフト表作成が行えるかどうかについて、是非お試しください。